平成4年版 通信白書

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第1章 平成3年情報通信の現況

(1)指標にみる家庭の情報化

 家庭の情報化の進展状況を、情報の人手手段の多様化の面(情報装備指標)、各種のメディアからの情報提供面(情報入手可能性指標)、各種情報通信メデイアへの接触面(情報利用指標)及び情報を入手するために支出した費用面(情報支出指標)の4指標によりみると、第1-3-24図のとおり、全体的には順調な進展がみられる。特に、情報の入手手段の多様化については増加傾向が顕著である(付表8参照)。
 ア 情報装備指標
 情報装備指標は、家庭において情報を入手するための手段の多様化の推移を表すものであり、情報通信ネットワークへの加入数と情報通信機器の所有数により構成されている。
 昭和55年度を100とした2年度の指数は174.9と大きな伸びを示している。内訳でみると、情報通信ネットワークの装備指数は158.9、情報通信機器の装備指数は190.8と、ともに伸びは大きく、新しいサービスや機器に対する需要の強さがうかがわれる。
 この状況は、郵政省の「通信利用動向調査」(付注4参照)においても明らかであり、調査対象としたサービス・機器のほとんどについて、現在の利用状況、今後の利用意向の増加がみられ、今後一層の需要の拡大が見込まれる(第1-3-25図参照)。
 特に、3年度から試験放送が開始されているハイビジョンについては、現在では高額な情報通信機器であるが、街頭等において視聴可能な設置数も増えつつあり、34.4%が今後何らかの方法による利用意向を示しているほか、近年、低廉化の進展しているファクシミリについてみると、2年度調査において6.7%であった利用が、3年度調査においては9.3%と拡大しており、今後の利用意向も22.9%と高率であるなど、新しい情報通信メディアへの期待の高さがうかがわれる。
 イ 情報入手可能性指標
 情報入手可能性指標は、家庭において入手可能な情報量の推移を表すものであり、各種メディアからの提供情報量により構成されている。
 昭和55年度を100とした2年度の指数は130.0となっており、昭和60年度以降、ビデオやCD等のパッケージ系の伸びが顕著である(第1-3-26図参照)。
 また、入手可能性に関連するものであり、私人に向けて直接発信される情報提供手段として、いわゆるダイレクトメールの割合が大きなものとなっている。このダイレクトメールは、生活の各分野に対して様々な情報を提供してくるものであり、輸送手段として主に利用されている郵便においても、大きなシェアを占めるに至っている。
 ダイレクトメールに関する動向を、3年ごとに郵政省が実施している「郵便利用構造調査](付注2参照)でみると、3年9月の調査結果では、事業者から私人向けに出されるダイレクトメールは、普通通常郵便物の22.6%に当たり、私人が受け取る普通通常郵便物の32.6%と大きな割合を占めている。この結果を昭和57年9月の調査と比較すると、普通通常郵便物に占める割合では4.6ポイント増、私人が受け取る普通通常郵便物に占める割合も4.8ポイント増となっており、私人が受け取るダイレクトメールの割合が増加している状況にある。
 ウ 情報利用指標
 情報利用指標は、家庭における情報利用時間の推移を表すものであり、各メディアへの接触時間により構成される。
 昭和55年度を100とした2年度の指数は、VTR、CD・レコード等の視聰時間の追加等により、昭和60年度に比べて12.1ポイント増の95.0となっている。
 一方、NHK調査により平均的な生活時間の変化をみると、行楽、散歩、スポーツ等の余暇・レジャー関連項目が増加するなど、自宅外で過ごす時間も多くなっており、余暇の過ごし方の多様化が進展している(第1-3-27表参照)。
 エ 情報支出指標
 情報支出指標は、家計消費支出における情報通信関連支出の推移を表すものであり、情報通信ネットワークへの加入・継続、情報通信機器の購入及び情報ソフトウェアの購入に係る実質購入費により構成される。
 昭和55年度を100とした2年度の指数は114.1となっている。
 これを内訳でみると、情報通信機器の購入費の伸びが高いことが特徴的である。また、情報通信機器の購入費を除いたランニングコスト的な支出については、漸増傾向となっている。一方、全消費支出に占める情報支出の比率をみると、総合計、ランニングコスト部分ともにほぼ一定水準となっており、近年の技術革新と情報化の進展の中にあっては、情報通信にかかわる支出が相対的に安価となっていることを表している(第1-3-28図参照)。
 次に、総務庁の「家計調査」により、世帯主の年齢、職業あるいは家族構成といった世帯属性や、居住地の都市規模等が家計支出に占める通信支出(家計調査収支項目分類7.3の「通信」及び9.4の「受信料」の合計)シェアに与える影響を、昭和61年がら2年までの5年間について所得階層5段階別に分析したところ、その主な特徴は以下のとおりであった(付表9参照)。
[1] 上期(各年の1月〜6月)における通信支出シェアは、下期(各年の7月〜12月)に比べて低くなる傾向にあり、家計の通信支出は年間を通じて同じようなパターンでなされるのではなく、季節的要因によって変動することがうかがわれる。
[2] 世帯主の職業が法人経営者や自由業者、あるいは商人・職人、個人経営である世帯では、それ以外の職業の世帯に比べて総じて通信支出シェアが大きい傾向にあり、世帯主の職業によっても通信支出シェアは異なることがうかがわれる。
[3] 最近5年間でみる限り、居住地の都市規模や居住地の地価は、通信支出シェアに対して特段の影響を与えていない。

第1-3-24図 家庭の情報化指標

第1-3-25図 通信・放送に関するサービス・機器の利用意向

第1-3-26図 情報入手可能性指標を構成する各系の推移

第1-3-27表 自由時間行動における利用時間の推移

第1-3-28図 情報支出指標を構成する各系の推移

 

 

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