平成4年版 通信白書

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第3章 ゆとりと活力のある情報社会の形成と電波利用

(2)電波利用における安全・信頼性の向上

 電波利用が一層増大する中で、電波利用の高密度化、社会における電波利用の重要性の向上を考えると、不法無線局問題、盗聴問題、ネットワークの安全・信頼性問題等電波利用環境の悪化防止は重要な課題となっている。
 ア 不法無線局への対応
 電波利用の飛躍的な拡大に伴い、免許を取得せずに運用する不法無線局や免許を受けているものの電波法に違反して運用している無線局が多く出現し、テレビやラジオ放送、警察や海上保安、消防といった人命や財産の保護のための通信、自動車電話等電気通信事業者の提供する公衆回線等、重要な無線通信に混信妨害を与える事例が多発している(第3-2-2図及び第3-2-3表参照)。
 このような状況から、多発する混信妨害をなくし、信頼できる電波利用環境を守るために、不法無線局に対しては、警察など捜査機関の協力を得て今後とも取締りを実施、強化していくほか、混信被害情報の収集、無線機器の販売店の調査等基本的なデータの収集体制の整備を進め、基準不適合設備に対しては製造・販売段階での勧告、公表制度を活用するなど指導強化を図る必要がある。一方、一般国民に対しては、電波利用に関する知識の向上及び混信妨害の未然の防止のための周知活動を強化する必要がある。
 イ 通信の秘密保護(盗聴問題)
 無線通信の利用が拡大し、特に近年のコードレス電話や自動車・携帯電話の飛躍的増加に見られるように、深く国民生活にまで浸透したこと、技術の進歩により盗聴のできる受信機が容易に入手できるようになったこと等から、盗聴が大きな社会問題となっている。
 プライバシーの侵害である盗聴は、利用者に多大の不安と損害を与え、法律上も通信の秘密の侵害として電気通信事業法、電波法で禁じられている。まだ、盗聴は、無線通信に対する信頼を失わせ、今後の電波利用の健全な発展に対しても悪影響を与えることが懸念される。
 そのため、郵政省では2年9月、当面の対策として、関係業界に、一般向けの受信専用機については、自動車電話、コードレス電話等の周波数帯が受信できない構造とすること、アナログ方式のコードレス電話の秘話性を向上させるための研究開発を行うことなどの対策を採るよう指導を行った。しかし、アナログ方式では高度な秘話化は難しく、現在実用化が進められているデジタル自動車電話やPHP(パーソナル・ハンディーホン)等、デジタル方式の通信システムの実用化が待たれるところである。また、これらの対策と並行して、盗聴の違法性に対する啓発活動を進め、社会的モラルの向上を図ることも必要である。
 ウ 災害、事故等に対するネットワークの安全・信頼性の向上
 2年12月の通信衛星の事故や3年の放送衛星の不具合は、現代の巨大システムが事故を起こした際の影響の大きさを改めて確認することとなった。巨大システムに限らず、無線通信はその耐災害性から災害緊急時の連絡や有線系ネットワークの事故時のバックアップとして利用される場合が多く、その安全・信頼性は十分に確保される必要がある。
 郵政省では、放送衛星の補完機の確保を図るほか、衛星通信の信頼性向上のため、電気通信事業者間のバックアップ体制の確立について準備を進めている。

第3-2-2図 不法無線局の措置局数(2年度)

第3-2-3表 重要無線通信妨害発生件数の推移

電波監視室

 

 

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