平成4年版 通信白書

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第3章 ゆとりと活力のある情報社会の形成と電波利用

2 電波利用における技術開発・環境整備の推進

 (1)電波利用における技術開発の推進

 情報通信分野の発展においては技術的要素によるところが大きく、電波に関する技術開発の推進は高度情報通信基盤の整備に不可欠であるとともに、その波及性によって多くの分野に貢献することが期待される。
 また、周波数のひっ迫に対応するため、新たな周波数資源の開発や既利用周波数の有効利用技術の開発がより重要な課題となってきている。今後の新たな周波数帯の開発としては、30GHz以上300GHz未満のミリ波帯等の新たな周波数資源の開発、3GHz以上の周波数帯における移動通信技術の開発、さらに光領域周波数帯の開発などが期待される。まだ、デジタル化技術は、通信サービスの高度化、周波数の効率的利用、<1>SDNとの融合、通信の秘匿性等に優れた特長を有しており、その高度化に向けた取組が必要である。
 今後の情報通信の多様なニーズに対応するとともに、技術面における国際貢献・国際協力を図るため、基礎研究の充実はもちろん、基礎研究から応用への橋渡しを行う先導的研究開発の強力な推進及び国際共同研究開発等の積極的な推進が必要である。
 このため、国は民間の研究開発能力をも十分に活用し、産・学・官連携の下、継続的に一体として研究開発が行われるような研究開発体制を整備すべきである。電波利用分野における先端的技術開発の中には、緊急な取組が必要であるにもかかわらず、高リスク・高負担で長期間を要することなどから、民間では技術開発インセンティブが働きにくい分野があり、このような分野については、国が基礎研究から応用への橋渡しを行う先導的研究開発を積極的に推進することが必要である。
 民間における技術開発については、基盤技術研究円滑化法等による各種の支援措置が採られているが、今後、より一層民間への支援措置の充実を図るとともに、民間による設置が困難な試験設備や共同利用できる研究施設の整備など研究開発環境の整備・充実を図ることが必要である。
 また、民間の研究開発についてのインセンティブを働かせ効率的な研究開発を推進するため、通信・放送分野における産・学・官の共同研究を推進するとともに、研究施設の地方への展開による地域振興への寄与・研究の多様化、国等による民間へのコンサルティング活動の促進を図ることが必要である。
 さらに、近年の研究開発においては、国際的な研究情報の交換等を抜きにしては考えられなくなっていることや我が国の国際貢献及び国際協力に対する期待が高まっていること等から、海外との共同研究を推進するとともに、外国人研究者の招へいによる我が国の研究者との研究交流を促進する必要がある。
 技術情報の流通体制を整備することも重要であり、電波技術情報の公開制度を確立しそのデータベース化を図るとともに、海外をも含めた技術交流ネットワークの構築を図る必要がある。

 

 

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