平成4年版 通信白書

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第3章 ゆとりと活力のある情報社会の形成と電波利用

(4)電波を利用しやすい制度の導入・拡大

 電波の利用については、電波の有限性や他の無線通信への混信の防止等の理由から、原則として無線局免許の取得や従事者の配置が義務付けられているが、今後さらに急増が予想される電波利用において、制度的、技術的に適正な利用を確保した上で、免許手続きの簡素化や無線従事者の育成と配置の効率化等を推進する必要がある。
 免許手続きの簡素化については、近年の移動通信を始めとする小規模な無線設備の急増に対応して、製造段階あるいは流通の段階において、無線設備の技術基準への適合性を試験・証明し、この適合証明を受けた無線設備を使用する無線局については、予備免許と落成後の検査を省略して直ちに免許を与える簡易な免許制度(技術基準適合証明制度)が昭和56年から導入されている(第3-2-5図参照)。
 さらに、技術基準適合証明機器であって、コードレス電話のように、極めて小電力でほかの無線局への混信妨害の恐れが少なく、その利用形態から今後広く普及することが予想され、また誰でも操作できるという特徴のある無線局については免許を不要としている。
 技術基準適合証明の対象機器は次第に拡大されており、現在は自動車電話、MCA無線、VSAT地球局、コードレス電話、ワイヤレス・マイクなど21区分の機器が認められている。2年度末現在で、証明した機器の累計は380万設備を超えている。今後とも、電波利用の拡大にあわせ、技術基準適合証明の対象機器の拡大や免許不要局の拡大を図る必要がある。
 また、無線従事者についても、従来から、一定の条件の下では、タクシー無線、MCA、自動車・携帯電話等の移動局側の無線設備の操作等、無線従事者の管理下における無線設備の操作や定型的かつ簡易な無線設備の操作については無線従事者の資格がなくてもできることになっている。
 さらに、2年5月からアマチュア無線局を除く無線局で主任無線従事者制度を導入した。これは、主任無線従事者のもとでは、無資格の人でも主任無線従事者の操作範囲内で無線設備を操作できるものである。
 無線従事者の養成については、電気通信関係の教育機関の課程を履修した場合には試験の科目を免除する制度や民間の養成課程の受講により資格を取得する方法があり、広く利用されている。また、無線従事者の配置については、今後とも、技術の進歩や無線局の利用形態の変化に対応していく必要がある。

第3-2-5図 無線局の免許手続

第3-2-5図 無線局の免許手続

 

 

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