平成4年版 通信白書

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第3章 ゆとりと活力のある情報社会の形成と電波利用

(3)「個」尊重の電波利用

 近年の家庭生活においては、ライフスタイルの変化とともに、「個人の」あるいは「個別の」需要が強くなってきている。
 放送あるいは電気通信の分野において顕著な、「いつでも・どこでも・だれとでも」利用が可能である状況を目指した現在の動きは、正に、「個」の尊重を目指した動きであり、利用実態面においても着実な一般化が進展しているものと思われる。
 利用の実態面において今後ますます期待される分野としては、標準電波(時報電波)を受信し、自動的に時刻を補正する狂いのない時計の開発や、無線セキュリティ・システムによる外出時のホームセキュリティの確保及び遠隔監視の実現、あるいは、車社会における電波利用として、道路設備や乗用車に搭載された設備としての、ナビゲーション・システムや車両距離制御用センサの導入、視覚障害者のための誘導通信システム等、より生活に密着した実用的なシステムが挙げられている。
 一方、国際的にも「パーソナル化への対応」は大きな課題となっており、例えば、国際海事衛星機構(インマルサット)の総合計画「プロジェクト21」においては、今世紀末までに、世界中どこからでも使えるポケットサイズの衛星電話サービスを開始することとされている。また、国際無線通信諮問委員会(CCIR)においても、世界共通規格の将来の公衆陸上移動通信システム(FPLMTS)の検討が行われているなど、個人の行動範囲が国際的に更に広がることを想定した、未来型の情報通信ネットワークの検討が重ねられている。
 このように、国内外の電波利用の状況は、次第に進展のスピードを速めており、家庭における電波利用も、より「個」に着目した個別のニーズにかなったものに変化していくものと考えられる。

 

 

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