平成4年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

(2)アジア・太平洋地域における国際協力

 ア APTへの対応
 アジア・太平洋電気通信共同体(APT)は、アジア・太平洋地域における電気通信の開発促進及び地域電気通信網の整備・拡充を主目的として、アジア・太平洋電気通信共同体憲章に基づき1979年に設立された政府間国際機関であり、我が国は創設以来、事務局等への専門家の派遣や研修員の受入れ等の対応を行っている。
 1991年11月には臨時総会がスリ・ランカにおいて開催され、APT活動の活発化及び財政の強化を図るため、従来「コモンキャリア」に限られていた賛助加盟員資格を「電気通信業務を提供するもの」まで拡大することを内容とする憲章の改正が採択された。この改正が発効すれば、我が国からは、従来参加していたNTT及びKDDに加え、すべての第一種及び第二種電気通信事業者がAPT活動に参加できることとなる。
 また、並行して行われた第15回管理委員会では、APTによる技術協力を一層推進するため、参加各国への特別拠出の要請決議が採択された。我が国はこの要請に応え、郵政省ODA予算より約1億円(80万米ドル)を拠出する方針である。APTはこの資金で「日本基金」を創設し、[1]電気通信セミナーの開催、[2]開発途上国への専門家の派遣、[3]開発途上国からの研修員の受入れ等に役立てることとしている。
 イ APECへの対応
 アジア・太平洋経済協力(APEC)閣僚会議は、アジア・太平洋地域における経済面での協議と協力の在り方についての討議の場として、1989年以来開催されているものであり、1990年5月の高級事務レベル会合においては、電気通信がワークプロジェクトのーつとして採択されている。
 我が国はニュー・ジーランドとともに、同年7月に具体的協カプロジェクトの一つとして取り上げられた「域内ネットワークの構築と協力(テレポート(注)及びEDI)」の取りまとめ国となっており、1991年5月には第3回電気通信専門家会合を東京で開催し、具体的協カプロジェクトの今後の方針等について討議を行った。各国のテレポートへの関心は深く、引き続き開催された「APECテレポートセミナー」においても、テレポートの社会経済開発に果たす役割等について活発な議論が行われた。
 ウ ISDNの国際普及に関する対応
 アジア諸国におけるISDNへの関心は顕著な高まりをみせており、産・学・官の各機関による共同研究を通じて、極東アジア及びASEAN諸国におけるISDN早期実現の支援を目的とした「ISDN国際共同研究会」が、我が国の提唱により1988年4月に設立されている。
 1991年度においては、5月に東京会合が、11月にはマレーシアにおいて臨時管理委員会及び第8回ワーキング・グループ会合が開催されており、我が国からは郵政省をはじめ、NTT、KDD、メーカー、学識経験者等が参加し、ISDN技術に関するガイドブックの作成や、ISDNアプリケーションモデルの作成等について検討が進められている。
 エ APPUへの対応
 アジア・太平洋郵便連合(APPU)は、万国郵便連合(UPU)の地域的限定連合として1962年に設立されたものであり、我が国は1968年の加盟以来積極的な対応を行っており、ナジア・太平洋地域の郵便職員の訓練を行うアジア・太平洋郵便研修センター(APPTC)に対しても、郵便に関する専門的知識を有する職員をコンサルタントとして派遣するなどの支援を行っている。
 1991年11月には執行理事会がブルネイにおいて開催され、APPUの財政について審議が行われたほか、1990年11月の第6回大会議において採択された5年間の重要な活動計画(ロトルア・アクション・プラン)の進ちょく状況や、アジア・太平洋地域における郵便に関する技術協力の在り方等についても審議が行われた。

 

 

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