平成4年版 通信白書

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第3章 ゆとりと活力のある情報社会の形成と電波利用

(1)リモートセンシング観測

 ア 大気観測
 大気観測では、雲や降雨に関する気象状況の調査等が行われている。
 また、郵政省通信総合研究所では、2年度より、最近懸念されているオゾン層破壊や地球温暖化問題に大きく影響する成層圏(地上約15〜50km)から中間圏(地上約50〜80km)にかけての上層大気中の微量ガス成分の計測技術の開発に取り組んでいる。さらに、これと並行して、3年10月の日米科学技術協力協定に基づく第3回合同委員会において、地球科学及び地球環境分野の郵政省関係の共同研究テーマとして、「地球環境のための高度電磁波利用技術に関する国際共同研究」が合意され、中層大気の総合的な観測・計測技術の開発や大気と電波との相互作用の研究開発をアラスカ大学と共同で行う計画が進行している。
 イ 陸域観測
 陸域観測では、農作物の生育状況や森林の植生分布に関する調査、地表面の地質調査、鉱物資源の探査のほか、災害監視等が行われている。災害監視の例では、3年7月、郵政省通信総合研究所が、航空機搭載のマイクロ波映像レーダを用いて、雲、噴煙に覆われて肉眼では見えない長崎県島原市雲仙普賢岳の溶岩ドーム周辺の撮影に成功した。この成果は、悪天候下の災害監視におけるマイクロ波映像レーダの有効性を我が国で初めて実験的に検証するものとなった。
 ウ 海域観測
 海域観測では、波浪、海上風、海流の調査、プランクトンや赤潮の監視、油汚染の監視等が行われている。郵政省通信総合研究所では、昭和59年より航空機搭載マイクロ波レーダ及び衛星搭載合成開口レーダによる海上汚染の監視技術について研究開発を行っているほか、昭和62年から短波海洋レーダによる波浪、海流の観測を行っている(郵政省通信総合研究所におけるリモートセンシング観測の取組状況については、第3-1-17表を参照)。

マイクロ波映像レーダによる雲仙・普賢岳周辺の映像(3年7月)

第3-1-17表 郵政省通信総合研究所におけるリモートセンシング観測の取組状況(1)

 

第3-1-17表 郵政省通信総合研究所におけるリモートセンシング観測の取組状況(2)

 

 

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