平成4年版 通信白書

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第3章 ゆとりと活力のある情報社会の形成と電波利用

(2)電波利用料制度の創設

 ア 電波利用料制度創設の趣旨
 高度情報社会の進展に伴い電波利用もあらゆる分野に及び、その利用も増大かつ多様化の一途をたどっている。このため、今後の円滑な電波利用を確保するには、
 ・不法無線局急増への対応等電波利用環境の維持
 ・電波利用の拡大に伴う行政事務量増大への対応等の課題に対して、早急かつ的確な対処が必要となっている。
 以上の状況に対し、これらの課題を解決するために必要となる行政経費を確保し、その費用負担の公平を図るため、5年度からの電波利用料制度の創設に向け、所要の準備を進めている。
(ア)不法無線局急増への対応等電波利用環境の維持
 技術の進展とともに、高度な機能を有する無線設備が容易かつ安価に入手できることになったこと等から、新たな形態の不法無線局が増加してきている。
 しかし、我が国の電波監視施設は19施設であり、常時監視のエリアは、地方電気通信監理局の所在地周辺に限定され、他の地域は全国で40台程度の移動監視車で対応するなど不十分な状況にある。
 今後、電波利用の発展する中で、電波妨害の横行は正規の電波利用に重大な影響を及ぼすことが懸念され、不法無線局を的確かつ迅速に摘発する体制を整備することが喫緊の課題となっている。
(イ)電波利用の拡大に伴う行政事務量増大への対応
 近年の電波利用の増大に伴う無線局免許申請等の急増、技術の進展等に対応するために、これまで、技術基準適合証明制度の創設、無線局の定期検査制度の見直し、主任無線従事者の創設、コードレス電話、特定小電力無線局等の免許不要局の拡大等、行政事務の効率化が.図られてきた(第3-3-4表参照)。
 しかし、これら行政事務の効率化にもかかわらず、最近の無線局数が急増していることから、今後の無線局に対応したデータベース等を活用した総合的な電波監理システムにより電波行政事務全体の効率化を図ることが必要である。
 イ 電波利用料制度の概要
 制度の概要は以下のとおりである。
(ア)電波利用料の徴収
 無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用(電波監視施設等の整備及びコンピュータを活用した総合的電波監理システムの整備)の財源に充てるため、免許人から電波利用料を徴収する(第3-3-5表参照)。
(イ)徴収対象
 無線局の免許を受けた者を対象とする。ただし、国の無線局及び地方公共団体が開設する消防・水防の用に供する無線局等については、適用除外とし、地方公共団体が開設する防災の用に供する無線局については、電波利用料を2分の1に軽減する。
(ウ)徴収方法
 電波利用料の前納制度、納付しない場合の督促等、徴収方法の規定を設ける。
(エ)電波利用料収入の特定財源化
 電波利用料収入の特定財源化を図るための過年度調整条項等の規定を設ける。

第3-3-4表 行政事務の効率化の経緯

第3-3-5表 電波利用料

 

 

第3章第3節2(1)諸外国における電波の有効利用制度の動向 に戻る (3)周波数有効利用促進のための支援措置 に進む