平成4年版 通信白書

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第3章 ゆとりと活力のある情報社会の形成と電波利用

1 電波利用技術の開発

 (1)移動通信技術の開発

 ア デジタル化の推進
 現在、我が国で実用化されているデジタル移動通信システムとしては無線呼出し、テレターミナル、構内無線データ伝送システムがあるが、さらに、デジタル方式自動車電話システムやデジタルコードレス電話の開発が行われており、移動通信は、より良質で高度なサービスの提供を目指して、アナログからデジタルへの転換期を迎えつつある。これはデジタル化が、[1]通信の秘匿性、[2]ISDNとの整合性、[3]通信サービスの高度化、[4]データ伝送の効率化、[5]伝送品質の耐劣化性、[6]周波数の効率的利用の可能性などの利点を持っているためである。
 このように様々な利点のあるデジタル方式ではあるが、デジタル化には、音声符号化技術、端末無線装置の小型・軽量化等の開発等の課題があり、これを推進する必要がある。
 イ 通信のパーソナル化への対応
 21世紀の公衆通信網では回線に付けられていた従来の電話番号とは異なり、個々人等に対して付与された認証番号で、相手がどこにいても通信可能な追いかけ電話サービスが実現すると考えられている。発信者、受信者の居場所を問わない携帯電話は、将来の公衆通信網の重要な構成要素であり、国際的にもCCIRにおいてFPLMTS(将来の公衆陸上移動通信システム)の国際基準化作業が進められている。FPLMTSにおいては、個人等に付与された認証番号により、通信相手の特定、発信者名の表示、さらには通信料金の課金等の高度なサービスを行うため、IDカードシステムなどの個人認証技術、プライバシー保護や不正使用防止のためのセキュリティ技術の開発が必要である。
 ウ ワイヤレスオフィス、ワイヤレスカードの実現に向けて
 職場におけるOA化の進展により、オフィスや工場においてLAN(Local Area Network)の導入が進んでいるが、膨大な配線作業がシステムの機能性や柔軟性を損なっており、ワイヤレスオフィスを実現できる高速無線LANシステムの開発が求められている。また、カードは現代社会の隅々に浸透して多様に活用されているが、IDの照合等のデータのやり取りを無線化すれば、いちいちカードを取り出すことなく鉄道定期券の照合や高速道路の支払ができるなど利便性が大きい。

 

 

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