平成4年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

3 郵便局ネットワークの活用による地域・国際社会への貢献

 郵便局は全国津々浦々に24,000局の拠点を有し、情報通信サービスとして郵便業務を行っており、郵政省においては、こうした情報通信基盤である郵便局ネットワークを活用して、地域社会・国際社会に貢献する様々な施策を実施している。
 ア 地域振興に資する窓ロサービスの多様化・高度化の推進
 郵政省では、地域に密着した公的機関であるとともに、地域間を結ぶネットワークを形成している郵便局の特性を生かし、地域振興に資するため、窓ロサービスの多様化・高度化を推進している。
 住民票の写しについては、4年1月、郵便局に市町村が設置した専用のファクシミリを、住民が利用して住民票の写しの交付を請求し、それを受けて市町村が郵送により交付するという方法での取扱いが可能となった。これまでも、住民票の写し等の郵送サービス(郵便局窓口に専用の申込用紙・封筒を用意しておき、郵送により住民票の写し等の請求・交付を行うサービス)を実施しているが、ファクシミリを使った請求が可能となったことで、受け取るまでの時間が一層短縮されることとなった。4年2月から兵庫県津名町の5郵便局で取扱いを開始した。
 また、地方自治体等が作成した地域の観光、歴史等を紹介したビデオなどに関する情報を郵便局ネットワークを通じて提供し、ビデオの貸出し等を郵便を利用して行う「活き活き情報交流サービス(仮称)」の実験を4年度に行う予定である。
 イ 郵便局と社会福祉施設との合築
 昨今、高齢化社会の進展、女性の社会進出、核家族化等により社会福祉施設の充実が求められている。郵政省では社会福祉の増進に寄与するとともに土地の高度利用の要請に応えるという見地から、地方公共団体等のニーズを踏まえ、郵便局と社会福祉施設との合築を推進していく予定である。
 具体的には、郵便局舎の改善時に、将来郵政事業で使用する面積を確保してなお余剰面積が生じる場合に、地方公共団体の要望、社会福祉施設の建築・設備基準、利用形態等を総合的に勘案して行うこととなるが、対象とする社会福祉施設としては、老人福祉センター、児童館、点字図書館などの施設が考えられる。
 4年度においては、両国郵便局(東京都中央区)と東京都中央区の社会福祉施設との合築を計画しており、4年度中着工、6年度中の完成を目指している。
 ウ P-SATの活用による地域貢献
 郵政省では、郵便局ネットワークを高度化して、地域の情報化の推進に貢献するとともに、事業運営の高度化・効率化等を図るため、郵便局等に衛星通信の受信装置を設置し、衛星通信を利用して各種の情報通信を行う郵便局衛星通信ネットワーク(P-SAT)の運用を、3年4月より開始した。
 4年度においては、P-SATのネットワークを全国約300の郵便局等へ拡大する予定であり、全国各地の郵便局で、映像によって地域の特産物・地場産業・観光情報など全国各地のふるさと情報、最新の経済・生活情報等を提供することにより、地域の情報化の推進及び地域住民の利便の向上等を図ることとしている。
 エ 国際ボランティア貯金による国際貢献
 国際ボランティア貯金は、預金者から通常郵便貯金利子の20%の寄附を得、民間海外援助団体(NGO)を通じて、開発途上地域の住民の福祉向上のために活用することによって、国民参加による民間レベルでの海外援助の充実に資することを目的とするものである。
 3年1月より取扱いを開始し、2年度は212万9千人を超す人々がら11億円もの寄附金が寄せられた。
 3年6月、この寄附金のうち緊急援助分等を除いた9億1,358万円を、全国102団体が実施する148援助事業に第1回目の配分をし、アジア、アフリカを中心とした世界各地において、学校に行けない子供達への教育活動、女性の自立のための識字教育や縫製・手工芸等の職業訓練、生活用水確保のための井戸掘り、砂漠化防止のための植林、難民救済等各種の援助活動に役立てられている。
 緊急援助については、エティオピアにおいて、干ばつ等により飢餓に瀕している被災者のための緊急援助事業に充てることとして、4年3月、NGO2団体に1億円を配分した。
 4年3月末には国際ボランティア貯金の加入者数は約674万人に達し、郵便貯金の新しい顔として国民の間に着々と根付いており、今後とも郵便局ネットワークを活用した国民参加による国際貢献のモデルとして、定着させていく方針である。
 オ 郵使局における外貨両替等サービスの実施
 近年、我が国の国際化の進展に伴い、海外へ渡航する日本人及び来日する外国人が急速に増加しており、従来にも増して外国通貨の両替及び旅行小切手の売買に対するニーズが高まっている。これらのニーズに的確に対応し、旅行者の利便を図るため、3年10月から全国の100の郵便局において外国通貨(米ドル、仏フラン、カナダドル、英ポンド、独マルク及び豪ドル)の両替及び旅行小切手(前記の6通貨建ての旅行小切手の他日本円建てのものも取り扱う)の売買を開始した。
 3年度の取扱状況は、総取扱件数16,831件、総取扱金額13億6,643万円であった。
 4年度以降においても、順次取扱局を増やしていく予定であり、これにより地域住民の利便の向上並びに地域の国際化に貢献していくこととしている。

 

 

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