平成4年版 通信白書

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第3章 ゆとりと活力のある情報社会の形成と電波利用

(2)アウトドア・ライフにおける電波利用

 ア 戸外における電波利用の一般化
 近年、情報通信の分野においてはライフスタイルの変化に応じ、戸外における多様な生活行動への対応が進展している。
 放送メディアにおいては、手のひらサイズの衛星放送受信用アンテナが開発され、電車内での文字放送の視聴も一部可能となっている。
 電気通信メディアにおいては、従来の列車公衆電話や航空機公衆電話、インマルサット衛星を使った国際線航空機からの国際電話サービスのほか、携帯電話等を常備したホテルや飲食店、ゴルフ場等の各種施設が多くなっており、地下鉄車内や地下道での利用実験も行われている。また、地理的な条件により不通話地域であった場所においても、無線公衆電話が設置(北海道:石北峠)されるなどの状況にある。
 電話以外では、ポケットベル等の無線呼出し機器の一般化が顕著であり、特に、数字等の文字表示型の機種が導入されて以降、利用方法も多様化して、動く伝言板的な役割を果たしている。
 イ 余暇・レジャーにおける電波利用
 余暇・レジャー面における従来の電波利用の例としては、屋内型ではアマチュア無線、短波ラジオ放送の聴取等の事例が、屋外型ではラジコン模型、トランシーバー、運動会等でのワイヤレスマイクの利用等各種の事例がみられているが、限定的な利用にとどまっていた。
 しかし、近年においては、余暇・レジャー志向の高まりに伴い行動範囲も拡大する傾向にあり、より安全に、より活動的に余暇・レジャーを楽しむという観点からも、電波利用システムの整備が進んでぃる。例えば、マリン・レジャーにおいては、モーターボート、遊漁船等のいわゆるプレジャーボートの普及が顕著であるが、プレジャーボートによる海難事故件数は全体の約4分の1を占める状況にあり、マリン・レジャーにおける安全確保のためのシステムが求められている。このような状況に対応したシステムとしては、150MHzの周波数の中からプレジャーボートに対し専用の周波数(マリンVHF)を割り当て、遭難時などには海上保安庁との連絡が可能な遭難安全周波数(chl6)を確保した通信システム(注)があり、マリン・レジャーの健全な発展のために必要不可欠なシステムとして注目されている。
 また、山岳レジャーにおいては、無線によるスキー場案内システムや、スキースクールにおいて、スキー指導員の指示を滑走中の生徒が無線で直接聞けるシステムが実用化されるなどの状況にある。
 このような状況から、今後のアウトドア・ライフにおける電波利用は、携帯性が向上するにつれた安全性や機動性を確保するメディアとして、重要性が高まるものと考えられる。

 

 

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