平成4年版 通信白書

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第3章 ゆとりと活力のある情報社会の形成と電波利用

3 国民共有の資源としての電波の有効利用の促進

 近年の移動通信の進展をはじめとする急激な電波利用の増大により、無線局数は5年間で約2倍の約732万局(3年12月末現在)に増大し、周波数資源がひっ迫してきている。また、今後の通信需要や放送における多メディア・多チャンネル化、難視聴解消等に対応するための新たな周波数が必要になってくるものと考えられ、現状のまま推移すれば1990年代には周波数資源が需要に追いつかない状況が到来するものと予測される。
 このため、電波のより一層効率的な利用を図り、新たな電波需要に対応するには、上述の周波数資源の開発や電波の有効利用技術の開発等に加えて、周波数の移行等を円滑に進めることが重要であり、周波数移行等に関するデータベースの整備を図ることが必要である。
 さらに、企業や国民一人ひとりが、電波は限りある国民共有の資源であるという認識を持ち、その利用に当たって秩序に則ってこれを有効に活用していくことを心掛けることも重要であり、電波の有効利用の必要性、不法無線局・盗聴の違法性に対する啓発活動を進めることが必要である。
 今後、一層の電波利用の増大が予測される中、不法無線局の増大により重要無線通信に対する妨害が増加しているが、現在の電波監視体制による対応は不十分な状況にあり、また、2001年には無線局総数は、5,000万局にも達するものと見込まれ、これに伴って、免許処理時間が長期化すれば、新しい無線システム・新技術の導入が遅延し、設備投資・更改意欲を低下させ、我が国全体の産業経済活動に重大な悪影響が生じることが予想される。
 このため、電波監視システムの整備及びコンピュータを活用した免許処理システムの導入を図ることが不可欠であり、これらに必要な電波行政経費の増大に対応するため、受益者負担の考え方に立った電波利用料制度の5年度からの導入に向け、所要の準備を進めているところである。
 この制度の趣旨に沿うて、不法無線局に対する対策の強化を図るとともに、一層急増する膨大な無線局の免許処理・登録手続の迅速化によって短期間での免許発給を行うことにより、21世紀の活力ある電波利用社会を構築していくことが必要である。

 

 

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