平成5年版 通信白書

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第1章 平成4年情報通信の現況

1 情報流通の動向

  (1)  全国の情報流通の動向

 流通する情報量の把握による情報化の定量的な分析として、郵政省では「情報流通センサス」を昭和49年度以降毎年実施している。
 「情報流通センサス」とは、郵便、電話、テレビジョン放送等多様な情報通信メディアを通じて流通する情報量を、情報の発信、受信及び消費の各場面において定量的に計量するものである。計量に当たっては、様々な形態を持つ各種の情報の量を、各メディアに共通な尺度として日本語の1語に相当する「ワード」という単位に換算し計量している。
 従来情報流通センサスでは、情報流通量の指標として、原発信情報量、発信情報量、供給情報量、消費情報量を定義し計量してきたが、4年度において、計量概念についてメディア間で一層整合化を図るため、新たに消費可能情報量を設定した(従来の供給情報量は選択可能情報量と名称変更)。この結果、各情報流通量の定義については第1-3-1表のとおりとなった(各情報流通量の概念例については付表1参照)。
 また、情報化の状況を明らかにするためには、情報のフローのみをとらえるだけでは不十分であり、社会全体に存在する情報量をより総合的に把握するため蓄積情報量の計量も行っている(付表2参照)。
 4年度の計量においては、昨今新しい情報通信メディアが増加してきていることにかんがみ、計量対象メディアを整理するとともに、新たにハイビジョン放送、ISDN等のニューメディアを加え、72の項目について計量を行った(付表3参照)。
 ア 概要
 4年度に実施した3年度分の調査結果に基づき、昭和56年度を基準とした各情報流通量等の推移を比較したものが第1-3-2図である。
 各情報流通量の10年間の年平均伸び率は、原発信情報量が10.7%、発信情報量が 8.4%、選択可能情報量が 8.3%、消費可能情報量が 5.6%、消費情報量が 3.9%となっている。原発信情報量、発信情報量及び選択可能情報量の伸びが著しくなっており、同期間の実質国民総生産の伸び率 4.3%を大きく上回っている。なお、同期間の総人口の年平均伸び率は 0.5%である。
 また、調査結果の概要をまとめたものが第1-3-3表である。これによると、原発信情報量と発信情報量の電気通信系メディアが昭和56年度に比して、 31.78倍、 31.26倍と大きく伸びていることがわかる。電気通信系メディアの伸びは、昭和60年度ごろから顕著になっており、いわゆる情報の電子化の進展がうかがわれ、特に大容量のデータ通信回線の普及が影響しているものと思われる。
 第1-3-4図は、実際の消費に対し、どの程度多くの情報が提供されたかを示す指標である情報選択係数の推移をみたものである。情報選択係数は、選択可能情報量/消費情報量で計算された数値を基準年度(昭和56年度)を1.00として指数化したもので、値が大きいほど情報の選択の幅が広がっていることを示すものである。図に見るとおり、情報選択係数は情報量の増加とともに年々増大する傾向にあり、3年度は1.51(2年度1.45)と伸びている(指数化しない情報選択倍数で見ると、昭和56年度の11.6倍に対して3年度は17.6倍)。
これは、消費情報量の伸び以上に選択可能情報量が増加し、情報の多様化が進展していることを示しているものと考えられる。
 イ 各情報量のメディア構成
 各情報量のメディアグル-プ別の構成比を見たものが、第1-3-5図である。
 原発信情報量では、電気通信系が全体の62.0%と大きな割合を占め、中でも専用サービスの中のデータ伝送(58.7%)の割合が大きくなっており、高速・大容量の専用回線の普及が影響している。その他では、空間系の対話の割合(34.3%)が大きくなっている。
 発信情報量のメディア構成をみると、原発信情報量と同様に電気通信系の割合が最も大きくなっているが、次いで新聞、雑誌等輸送系の割合が大きくなっているのが特徴的である。電気通信系の中では、専用サービス(データ伝送)の占める割合が大きく、発信情報量全体の39.8%を占めている。
 選択可能情報量のメディア構成をみると、電気通信系の割合(96.0%)が最も大きくなっている。中でも地上波テレビジョン放送の割合は大きく、全体の56.7%を占め、次いでケーブルテレビ放送が22.6%と大きな割合を占めている。ケーブルテレビ放送は、いわゆる都市型ケーブルテレビの普及等の多チャンネル化の進展により、近年割合を拡大する傾向にある。
 消費可能情報量でも、電気通信系の割合(81.4%)が最も大きいが、選択可能情報量の場合に比較して、輸送系( 4.2%)と空間系(14.4%)の割合が大きくなっている。個別メディアでみると、選択可能情報量のメディア構成に比較して、地上波テレビジョン放送、ケーブルテレビ放送の割合が低下し、衛星放送、AM・FMラジオ放送、新聞、対話等の割合が増大している。
 消費情報量のメディア構成は、電気通信系が全体の59.9%、輸送系が 4.8%、空間系が35.3%となっており、消費情報量においても電気通信系の占める割合が大きくなっている。個別にみると、地上波テレビジョン放送の割合が最も大きく、全体の30.3%を占め、次いで対話23.5%、専用サービス(データ伝送)20.1%、教育 7.2%の順となっている。
 蓄積情報量のメディア構成をみると、電気通信系が全体の11.0%、輸送系が89.0%となっており、輸送系の割合が圧倒的に大きくなっている。
特に、書籍は蓄積情報量の76.2%を占めている。

第1-3-1表 情報流通量の定義

第1-3-2図 情報流通量等の推移

第1-3-3表 情報流通センサス3年度分調査結果概要表

第1-3-4図 情報選択係数の推移

第1-3-5図 各情報量のメディア構成

 

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