平成5年版 通信白書

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第3章 映像新時代を迎える情報通信

(1) 映像メディアの発展の歴史

 映像が科学技術として可能となったのは歴史的に見ると、比較的に新しい。影絵、そして17世紀のガラス板の絵を壁に映して動かす幻灯機を基礎として創始された近代的写真術の発明がその起源とされる。
 近代的写真術は、1839年のフランスのダゲールによる銀板写真術(ダゲレオタイプ)の発明を起源とし、更に半世紀を経た1895年の、フランスのリュミエール兄弟によるシネマトグラフの発明によって、映画へと発達していくことになる。映画は大衆娯楽として、人々に広く受け入れられ興隆し、産業として目覚ましい成長を遂げた。
 テレビジョン放送は、1936年イギリスにおいて、世界で初めて開始されたが、我が国においては、1953年(昭和28年)2月、NHKによって開始された。約半年後の同年8月には民間放送による本放送も開始され、我が国にもテレビ時代の幕が上がった。
 昭和30年代に入るとテレビジョン放送はNHK、民間放送ともに国内主要地域で受信可能となり、テレビジョン受像機の大量生産と低価格化もあり普及が飛躍的に進展した。
 その後、テレビジョンの技術開発は、映像のカラー化へと進み、1960年(昭和35年)、NHKと民間放送がそろってカラー放送を開始した。
 こうしてテレビジョンは、それまで映画館等でしか見ることのできなかった映像を茶の間にもたらし、娯楽の中心を占めるまでに成長した。
昭和30年度末では17万世帯に過ぎなかったNHKの受信契約数は、4年12月末現在、 3,421万世帯にも達している。テレビジョンを通じて様々な情報や文化が伝えられ、映像文化の興隆に大きな役割を果たしてきている。
 さらに、ビデオの発明により、テレビジョン放送が記録されることで時間的制約から解放され、また、安価にかつ容易に映像ソフトを入手できるようになったこともあり、映像をいつでも自由に見ることができるようになるなど、映像情報が時間を超える力や文字・活字の持つ記録性を持つこととなり、映像文化が一層興隆している。

 

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