平成5年版 通信白書

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第3章 映像新時代を迎える情報通信

(1) 表示及び入力技術

 ア 表示技術
 表示技術については高精細・大画面及び省スペースなもの、また、携帯用の小型・軽量なもの等に対する開発ニーズが強く、その実現のために研究開発が行われている。ディスプレイの種類としては、主なものとして、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)等がある(第3―2-14表参照)。
 (ア)  ブラウン管
 CRTは輝度,精細度の点で非常に優れている。大きさは直視型で40インチ、投射型で 200インチ程度までの大型化が可能であるが、サイズを大きくすると重量、奥行ともに大きくなる点が課題である。
 (イ)  液晶ディスプレイ
 直視型LCDは、現在4〜10インチ程度のテレビ受像機が実用化されている。しかし、より一層の大型化には、材料、構造、製造法の面で改良が必要である。
 一方、投射型LCDは現在 100インチ程度までの大型化が実現されているが、省スペースの面で改良が必要である。
 薄膜トランジスタ(TFT)を使用したTFT-LCDでは既にカラー化、大画面化等の開発も進み、EWS(エンジニアリングワ-クステ-ション)やパソコン用に使用されている。しかし、フルカラー動画の実現のためには、デバイス等の開発が必要である。
 (ウ)  プラズマディスプレイ
 PDP(プラズマディスプレイ)は、ハイビション表示を目指した40インチ直流駆動型パネルの試作や、NTSC対応の21インチ交流駆動型パネル等の量産が開始されており、他のディスプレイに比べ大型化が比較的容易であるとされている。しかし、高精細化のための高輝度化、高速駆動化等が今後の課題である。
 (エ)  その他
 博覧会や展示会等では、全天周立体映像やバ-チャルリアリティ技術を用いた映像等CGを用いた3次元映像を駆使する技術が、臨場感を高めるものとして注目されている。
 イ 入力技術
 映像情報システムに対する入力技術としては、テレビカメラによる画像入力等が一般的である。
 ハイビジョンのような高画質の映像や、あらゆる撮影環境への対応のためには、現状の入力手段であるカメラの感度向上が必要である。現在、高感度カメラとして高感度撮像管(ハーピコン)を使ったカメラが開発されている。このカメラは、従来のカメラと比較し、数十倍の感度向上を実現しており、低照度でも良好な性能を示している。
 テレビカメラにおいては、電子デバイス技術の発達により、経済的で残像が無いなどの利点を持つ撮像素子としてCCD(電荷結合素子)が広く利用されているが、CCDの小型化、高解像度化、高感度化等の改良により、テレビカメラの性能が、近年飛躍的に向上している。
また、利用範囲も拡大しており、ハイビジョン用CCDテレビカメラの開発も行われている。
 しかし、さらなる高精細化、高感度化等のためには、新たな撮像素子の開発が必要である。

第3-2-14表 ディスプレイの方式

CGを用いた全天周立体映像シアター

 

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