平成5年版 通信白書

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第3章 映像新時代を迎える情報通信

(3) デジタル映像システムの研究開発

 ア 産・学・官の協調体制の構築
 電気通信技術審議会による、「21世紀を展望したデジタル映像技術の在り方について」の答申でも指摘されているように、映像システムは、幅広い分野に影響を及ぼすとともに、システム構築には長い年月と多大な投資を必要とする。このため、その開発目標等に対して内外関係機関のコンセンサスの形成が重要である。郵政省は、映像の高画質化、映像の各種規格の統合化等を目的として、事業者( 電気通信事業者、放送事業者) 、メーカー、ユーザー及び学識経験者等により5年2月に設立された「高度映像技術開発推進会議」に参画するとともに、基盤技術研究促進センターによる出資により、通信・放送・蓄積等のメディア間の変換の容易化(ハード・ソフトの共有化)を図る「映像メディア統合伝送処理システム」の研究開発の支援等を実施し、産・学・官の協調体制により、研究開発を図っている。
 また、通信・放送機構から特定研究開発基盤施設整備事業として初めての出資を受けて5年3月に設立された「(株)横浜画像通信テクノステーション」では、今後の画像符号化技術、伝送技術等の画像通信のための技術開発に必要となる画像評価室、各種実験室及び研究開発機器等を整備することにより、産・学・官の研究開発の促進を図ることとしている。
 イ マルチメディアの推進
 電気通信技術の発展にともない、通信網もアナログからデジタルへと移行し、地上にはISDN網が全国的に張り巡らされている。さらに数年後には高画質動画像の伝送も可能な広帯域ISDNが出現すると予想されており、ネットワークを通して伝送できる情報量は飛躍的に増大する。また、半導体技術等の発展により、文字、音声、画像等様々な情報のデジタル信号化が可能となるとともに、マイクロプロセッサによる情報処理能力の大幅な向上が実現した。
 このような情報の電子化、伝送及び処理能力の向上並びにメディアの多様化にともない、様々なメディアを複合的・一体的に利用することができるマルチメディア情報通信の実現が予想されている。
 郵政省では、このマルチメディア情報通信の概念、発展の方向、求められる機能、開発すべき要素技術及び標準化動向等を明らかにするため「将来のマルチメディア情報通信技術の展望」について、5年3月に電気通信技術審議会に諮問した。なお、答申は6年3月に予定されている。
 ウ 使いやすく利便性の高い総合的なシステムの研究開発
 映像情報を駆使したサービス・機器が国民生活のあらゆる場面に広く浸透するためには、機器の高機能化と並行して、複雑な操作や高度な知識を必要とせず、だれにでも利用できるサービス・機器の研究開発のより一層の促進が必要である。そのため、郵政省では、将来のネットワークにおいて、あらゆる種類の通信サービス、情報処理サービスを広く一般の人が容易に利用できるようにし、ユーザー利便性の向上に資することを目的に、電気通信フロンティア研究開発の中で、ネットワーク・ヒューマンインタフェースの高度化の研究開発を行っている。
 具体的には、システムとユーザーとの対話により、相互に意図を理解し、適切なサービスを提供することによる、ユーザー・インタフェースの改善を目指している。このため、システムとユーザーの相互意図理解、意味情報の抽出・相互変換等の研究を行い、あらゆる人が容易に、便利でかつ快適に利用できる高度なネットワーク・ヒューマンインタフェースの基礎技術の開発が行われている。

 

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