平成5年版 通信白書

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第3章 映像新時代を迎える情報通信

(3) 映像新時代の進展と情報通信環境の変化

 現在、注目を集めているマルチメディア技術やその利用が、国民に浸透していくことを通じて、各個人の行動様式や意思決定に大きな影響力を有している情報の流通形態にも変化が予想される。つまり、現在は、社会生活において、テレビや新聞等のマスメディアにより取捨選択、編集された情報に対し大きく依存している。しかし、今後は、マルチメディア技術の進展、機器及び通信ネットワークの発達により、誰もが、広く情報の発信を行い、意志伝達能力の高い映像情報の直接的な送受信が可能になるなど、メディア環境自体の変革をもたらしていくものと予想される。
 一方、利用者の嗜好・用途にあった様々なコミュニケーション手段の需要が高まれば高まるほど、手紙やはがきのように、現物性、情緒性及び儀礼性を備え、紙の材質や色あい等、メディア自体が意志伝達を行う際の有効な手段となる通信方法に対する役割が一層重要となっていくことが想定されている。そして、例えば、郵便においても絵手紙のような視覚に訴える使われ方も増えてきているところである。また、書籍のように、安価で、いわゆる「斜め読み」ができるなど、取扱が簡単で、保存にも適したメディアの存在価値も依然として有用であろう。このように、今後は、電子及び紙等の各メディアが有するそれぞれの特性に着目した利用がより顕著になり、各メディアが相互補完的な役割を果たしつつ進化していくものと予想されている。
 このように、映像新時代の到来は、社会福祉の向上や生活様式ばかりかメディア環境自体にも大きな変革をもたらすものと考えられる。そして、映像新時代を迎えるに当たって、我々は、人間社会の未来に対し極めて大きな期待を寄せることができる。そして、映像新時代の進展に向けて、現存する諸課題に対し、積極的な姿勢で望むことが求められている。

 

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