平成5年版 通信白書

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第3章 映像新時代を迎える情報通信

1 映像系情報通信の利用動向

 (1) 家庭における利用動向

 経済企画庁の「家計消費の動向」によると、1世帯あたりのカラーテレビ保有台数は、昭和56年が1.53台、3年が2.04台となっており、今やカラーテレビは1世帯に約2台普及している。
 また、衛星放送受信契約世帯数については、元年度末で 1,403千世帯、3年度末で 5,426千世帯と、過去3年間で約4倍と、急速に増加している。
 今後の利用意向についても、郵政省の「通信利用動向調査(4年度)」によると、調査対象世帯の39.6%の世帯が「衛星放送サービスを利用したい」との意向を示しており、今後の普及が期待される。
 家庭における映像への接触時間については、NHKの「国民生活時間調査(2年度)」によると、第3-2-1図のとおり、2年度のテレビ視聴時間(国民全体、全員平均)は 189分となっており、他の主要なメディア等への接触時間(ラジオ25分、新聞20分、ビデオ5分)と比較しても、個人の生活時間に占めるテレビの接触時間が圧倒的に大きいことがうかがえる。
 このように、近年、地上波によるテレビジョン放送とともに、放送衛星及び通信衛星を利用する放送や都市型ケ-ブルテレビ、ハイビジョン等の開始により、放送メディアは急速に多様化しており、家庭において映像情報を入手するメディアとして、テレビが中心的位置を占めている。
 一方、テレビ視聴を含めた多目的利用により、近年、急速に普及しているVTRについては、「家計消費の動向」によると、1世帯あたりの保有台数は、昭和56年が0.08台、3年が0.84台となっており、着実に普及している。
 また、家庭用テレビゲームについては、第3-2-2図のとおり、参加人口(3年は 2,590万人)、参加率(3年は25.3%)ともに上昇傾向が続いている。とりわけ、10代男性の参加率が72.1%と高く(第3―2―3表参照)、家庭における余暇活動として、テレビゲームは若年層の間では一般的になりつつあり、近年、通信を介してオンラインでゲ-ムを楽しむ利用が可能となっている。今後、家庭においては、テレビに様々な情報通信機器を接続して、映像を利用する形態が進展していくものと考えられる。
 今日の家庭生活(家庭外における個人利用も含む)において、映像系情報通信は、多メディア・多チャンネル化やネットワーク化、デジタル化の進展等を背景に、様々な分野で利用されている(第3―2―4表参照)。
 ア 生活関連
 従来のテレビジョン放送で行われていたテレビショッピングのほかに、ケーブルテレビの双方向機能を利用したケーブルテレビショッピングの番組が提供されている。ケーブルテレビ視聴者は、家庭のケーブルテレビ用端末のリモコンを操作し、家具や食器、食品等を紹介する番組や商品等の番号を打ち込んで、購入を申し込むことができる。コンサートのチケットを予約する際にも、ケーブルテレビが持っている双方向機能を利用して、コンサート番号及び申込枚数を入力して申し込むホームリザベーションが可能となっている。
 また、家庭におけるテレビ電話やモニターカメラが付いたインターホン等にも映像が利用されており、円滑なコミュニケーション環境の実現が図られている。
 さらに、バーチャルリアリティやネットワ-ク技術を活用して、互いに相手の動きをテレビ画面で見ながら、遠隔地の相手とボ-ルを打ち合い、実際のゲ-ムの臨場感を味わう仮想スポ-ツシステムが研究されるなど、健康で快適な生活の実現のために、映像系情報通信システムの利用が期待されている。
 イ 教養・学習
 一般のパソコン教室は、受講者がカルチャ-スク-ル等へ出かけて講義を受けるが、ケ-ブルテレビの双方向機能を利用したパソコン教室が実験的に行われた例がある。この実験は、視聴者がテレビ映像とケ-ブルテレビの双方向機能を利用して、放送センタ-の講師によるパソコンの操作方法等の講義に参加し、家庭にいながらにして学習できるものである。これにより、教室への参加申込、講義の理解度及び進捗状況の把握が可能となるとともに、複数回繰り返して放映されるため、視聴者の都合の良い時間帯に受講ができ、かつ家庭の人とも一緒に受講することができるなどの効果があり、今後の実用化が期待される。
 現在、CD-ROMソフト等を利用して、臨場感あふれる映像と英語を母国語とする人の発音による英会話学習や実体験できない天体や海洋の世界のシミュレーションによる体験等を行い、映像や音声等で楽しみながら知識や創造力を身につける学習システムが実用化している。これらについては、近年、衛星ネットワ-ク等を介してソフトの配信が研究されるなど、一層の発展が期待されている。
 ウ 娯楽
 ケーブルテレビ視聴者は、視聴者参加型のクイズ番組において、出題者からの問題に対して、ケーブルテレビの双方向機能を利用して、視聴者自身が解答者となり、答を選択することができる例がある。視聴者が入力したデータは、ケーブルテレビの上り回線を経由して、放送センターに伝送、コンピュータにより識別され、誰がどう答えたかが出力される。同機能を利用して、視聴者プレゼントへの応募も可能となっている。
 また、家庭における映像利用を一般化した例として、家庭用テレビゲームがあるが、近年、電話回線を利用したオンラインネットワーク上で、端末の所有者が一人一人架空の街の住民となり、リアルタイムで他者とコミュニケーションできるような双方向ロールプレイングゲームが、通信を介した新たなゲームとして利用されている。
 さらに、複数のゲーム機を通信回線を介してネットワーク化することにより、ゲーム参加者がそれぞれに同じ映像が映し出される画面を見ながらドライブゲームを同時体験できるように、個人の余暇活動においても最先端の技術を駆使した映像系情報通信システムの活用事例が増えてきている。
 また、視界の映像表示や運動、体感等の個別システムをネットワ-ク化して、宇宙探索や人間の体内等を体験できる体感シュミレ-ション施設等においても、バーチャルリアリティやCGが利用されている。
 以上のように、家庭においては、テレビ利用の多様化が進んでおり、テレビが映像情報の受発信の根幹を成しているものと考えられる。今後は、家庭にマルチメディア機器が入り、家庭に普及しているテレビを利用しながら、映像情報が高度に進展していくにつれて、ますます豊かで充実した生活が実現することが期待されている。

第3-2-1図 主なメディアの利用時間の推移

第3-2-2図 家庭でのテレビゲームの参加実態

第3-2-3表 家庭でのテレビゲームの性及び年代別参加率(3年)

第3-2-4表 家庭における映像利用

映像を利用した家庭学習

 

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