平成5年版 通信白書

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第3章 映像新時代を迎える情報通信

第4節 映像新時代の発展とマルチメディアの推進

 1 今後の展望

  (1) 現代社会における映像新時代の位置づけ

 前節でも述べてきたように、コミュニケーションの手段として、とりわけ優れた性質を有する映像系情報通信に関する政策動向と今後解決が望まれる課題の整理を行ってきた。
 本項では、現代における映像新時代の位置づけをあらためて整理するとともに、社会の発展に対し、今後期待される効果、影響及び可能性について言及することとする。
 映像系情報通信分野を取り巻く環境は、映画の誕生以来およそ1世紀を経た今日、著しい変化を遂げている。すなわち、テレビが、政治・経済情報のみならず、日常生活のあらゆる断面や世界中で起きている事件を瞬時にしかもリアルにお茶の間にまで伝達し、時代の流行をも左右するような影響力を及ぼしていること、しかも、文化、娯楽の源泉としての役割を有する点などにおいて、現代社会にとって不可欠な存在になっている。また、ビデオカメラやパソコン等の端末機器の高機能化、低廉化やデジタル技術の発達によって、誰もが、手軽に映像を制作、活用できるような状況が到来した。さらに、多メディア・多チャンネル化の急速な進展のみならずバーチャルリアリティ技術等の出現により、これまで経験することができなかったような刺激や可能性を国民生活にもたらすことが考えられている。
 すでに、2節において家庭・産業及び社会における先端的な利用事例の紹介を通じ、映像系情報通信分野が、今後、経済及び文化等を始めとした社会の発展にとって不可欠な役割を担う可能性について言及してきた。つまり、従来、「見る」対象にすぎなかった映像の量的拡大及び質的向上は言うまでもなく、日常生活においても「撮る」、「編集する」、「使用する」ことなどが可能となり、映像の利用形態は著しい変化を遂げている。さらに、その活用領域においても、テレビや映画等を代表とする文化及び娯楽的な分野のみならず、現在では、産業、医療及び教育等へとその活用領域が拡大している。そして、各種シミュレーションに応用されるなど、映像そのものが、道具として、また対象物として「使う」、「練習する」という「体験する」ための媒体としての特性を持ち始めている。これは、人間社会の発展にとり不可欠な要素である「試行錯誤」のリスクを著しく低減させ、人間社会の発展に向けた一大契機となろう。このように映像情報や、これをめぐる環境が質的、量的な変貌を遂げていることから、まさに今日は、「映像新時代」を迎えているといえよう。

 

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