平成5年版 通信白書

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第3章 映像新時代を迎える情報通信

(5) 交換及び伝送技術

 ア 広帯域ISDN
 映像情報はその情報量が多いため、転送のためには、高速・大容量のネットワークが要求されるとともに、様々な速度の情報を効率的に伝送できるネットワークを構築することが必要である。
 このような要求に応える技術として、広帯域ISDN(B-ISDN)が期待されている。B-ISDNは、ATM(非同期転送モード)交換技術を使用することで、音声から高速の映像情報まで多様な速度の情報を同時にかつ、柔軟に転送でき、高性能化と経済化を両立させようとするものであり、現在電気通信標準化部門等を中心に標準化が進められている。
 また、伝送分野では、SDH(Synchronous Digital Hierachy)をベースにした光伝送機器が重要であり、基幹ネットワークのみならず、加入者系にも適用していくことが検討されている。SDHは、高速伝送に優れ、これまで各国で異なっていた伝送速度の階層を世界共通の標準階層に改め、かつ基本伝送速度である 156Mb/s の整数倍で多重化していくものである(第3―2-16図参照)。
 またB-ISDNの加入者線は 156Mb/s 又は 622Mb/s と高速であり、光ファイバーを使用することが必要であり、光ファイバー加入者網の整備が重要な課題である。
 イ ケ-ブルテレビ
 ケ-ブルテレビにおいては、多チャンネル化を進めるために、主として光/同軸ハイブリッド方式、全光分配方式、光ハブ方式の3方式が提案されている。光/同軸ハイブリッド方式は、幹線系に光ファイバー、加入者系に同軸ケーブルを用いるもので、 100〜 150チャンネル程度の伝送容量が可能と考えられる。全光分配方式は、各家庭まで光ファイバーによって分配するもので、伝送容量は 150〜 300チャンネル以上まで可能である。しかし、コスト的にまだ実用化へは問題がある。光ハブ方式は、センターからハブまでの幹線系は光ファイバーにより全ての番組を伝送し、加入者からリクエストされたチャンネルのみをハブで選択し、各加入者に伝送するものである。この方式のメリットは、加入者系に低廉な光ファイバーを使用できること、サービスチャンネル数の拡張に際し、加入者系に変更工事が不要なことなどである。伝送容量は 150〜 300チャンネル程度である。
 ウ 衛星通信
 衛星通信では、より一層の高品質化、多チャンネル化を推進するために、デジタルによる映像伝送技術の開発が行われ、既にSNG等で実用化されている。デジタルで映像を伝送することにより、高品質な映像が伝送可能となるとともに、各種の画像圧縮技術が利用可能となるので、衛星の一つのトランスポンダで多数の映像を同時に伝送することが可能である。
 エ ハイビジョン
 ハイビジョンは、現行テレビの約5倍の情報量を持ち、膨大な周波数帯域を必要とする。このため、MUSE方式で帯域圧縮し、伝送帯域27MHz の放送衛星により試験放送を行っている。

第3-2-16図 高速デジタル同期伝送方式の階層構造

 

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