平成5年版 通信白書

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第3章 映像新時代を迎える情報通信

(2) 標準化の推進

 郵政省では、映像システムに関係する国際標準の作成の場である、国際電気通信連合(ITU)の電気通信標準化部門、無線通信部門における研究課題、勧告案等について電気通信技術審議会において審議を行い、国際標準作成のための積極的な寄与を行っているところである。また、国内標準作成においては電気通信技術審議会の各委員会、電信電話技術委員会(TTC)及び放送技術開発協議会(BTA)等において標準作成が進められている。
 また、電気通信技術審議会による、5年1月の「21世紀を展望したデジタル映像技術の在り方について」の答申では、通信、放送及び蓄積の各メディアのピクチャーフォーマット(画素数、階調、縦横比等)、符号化方式等の規格の調和及び相互接続性の確保により、各メディアのソフトの共有化を促進することが重要であると指摘されている。
 次世代の映像システムに関する具体的な標準化の推進のための展望は以下のとおりであり、郵政省としても電気通信技術審議会の指摘を考慮し、積極的にこれらの標準化を推進していく予定である。
 ア 動画系
 HDTVの衛星放送規格が、4年9月にCCIRにより、勧告化されている(MUSE方式とHD-MAC方式の両方を勧告化)。
 HDTVのスタジオ規格については、2年6月に日本及び欧州の両規格を包含する勧告が成立している。そのデジタル表現は、日・欧の方式が付録に掲載される方向で審議が進んでいる。放送のスタジオ規格に関するITUの無線通信部門の勧告は、放送番組の制作や番組交換といった本来の意義に加えて、他の分野においても基本として用いられることが多く、勧告化の目標時期等が明らかにされることが望まれる。
 符号化方式については、電気通信標準化部門MPEGの合同作業により、MPEG2/H. 26Xが1995年には標準化が完成する見込みである。
 標準化された符号化方式がどの程度の高画質レベルまで効率的に適用可能かを検証していくことが重要と考えられ、ユーザーニーズへの適合性を確保するため、検証過程へのユーザーの参加が望まれる。
 一方、無線通信部門では、地上テレビジョン放送及び衛星テレビジョン放送のデジタル化の研究を開始した。放送における符号化方式の選択は、伝送方式や干渉基準等の技術的な条件とも関係しており、放送としての画質の評価・実験を行って、所要のデータを入手する必要がある。
 さらに、応用のための標準化の動きの1つとして、電気通信標準化部門では、H.26Xで規定される符号化方式を用いたB-ISDNに適用するオーディオビジュアル端末の標準化作業を並行して進めており、H.32Xとして、H.26Xの勧告化のすぐ後に標準化する見込みである。
 また、無線通信部門においても、MPEG2を放送に応用する場合のユーザー要求等、放送と非放送分野におけるテレビ規格の調和について検討を行っているところである。
 イ 静止画系
 2値画像(白黒表現のみ)、カラー画像等に対する符号化方式が、CCITTとISOの合同作業により標準化された(カラー画像:JPEG方式、2値画像:JBIG方式)。
 電気通信標準化部門では、次会期 (1993年〜1996年) に上記勧告の応用として、ファクシミリのカラー化、オーディオ・グラフィックス会議での利用のための標準化を進めていく予定にしている。この他の用途としては、印刷の分野が考えられるが、当面は、用途に照らした業界標準の完成が期待される。

 

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