平成5年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

3 郵便局ネットワークの活用による地域・国際社会への貢献

 郵便局は全国津々浦々に24,000局の拠点を有し、情報通信サービスとして郵便業務を行っている。郵政省においては、郵便、為替貯金及び簡易保険の各事業を一体的かつ効率的に運営することにより、山間辺地に至るまで郵便局ネットワークを維持して、重要な情報通信基盤を形成するとともに、このネットワークを通じて、すべての国民にあまねく公平に各種のサービスを提供し、地域社会・国際社会に貢献している。
 ア 「活き活き情報交流サービス」のパイロット実験の実施
 郵政省では、地域に密着した公的機関であるとともに、地域間を結ぶネットワークを形成している郵便局の特性を生かし、地域振興に資するため、地域の情報発信・情報の地域間交流の促進を図る施策を推進している。
 その一環として5年1月より、地域の観光・イベント情報、産業情報、就職情報、住宅情報等の地方公共団体が発信する情報を、郵便局ネットワークを通じて、都会等で生活する人々や企業等に提供する「活き活き情報交流サービス」のパイロット実験を開始した。
 利用者は、地方公共団体が発信する情報に関する情報リストを、郵便局の窓口に備えた情報カタログ又はパソコン通信により検索し、申込書の郵送により、希望する情報の利用の申込みを行い、情報提供元の地方公共団体から郵便により入手するというものである(第2―4―2図参照)。
 情報を提供するのは第2-4-3表の20の都市であり、サービスの実施地域は、東京都区、政令指定都市、情報提供都市及び情報提供都市の属する県庁所在都市の計41地域であり、この実施地域に所在する約4,100 の郵便局で、情報カタログによりサービスの提供を受けることができる。また、パソコン通信による情報検索サービスは5年3月から開始した。
 イ 郵便切手等の海外販売
 郵便切手は、自国の自然・文化・産業等を国の内外に周知・紹介するなど大きな役割を担っており、また、郵趣の対象の中心となっている。
日本の郵便切手は、デザイン・印刷技術の面で世界でも高水準にあり、海外からも高い評価を受けている。
 5年度においては、我が国の郵便切手等に対する海外における需要にこたえるなどのため、郵便切手等を海外において販売する仕組みを設けることとしている(第2―4―4図参照)。
 ウ 地域社会の活性化に資する郵便局局舎の建設の推進
 情報通信拠点として全国に展開している郵便局は、地域社会に密着した存在であり、地域社会の活性化に果たしている役割が大きいことにかんがみ、郵政省では、郵便局が地域社会に貢献できるように、局舎の建設に当たっては、地域計画、経済、文化などを十分に考慮し、地域社会に調和し、その核となるような施設づくりを目指している。
 こうした観点から、地域の町並、文化あるいはその雰囲気を反映した郵便局、地域の再開発事業と連携し、土地の有効活用に資する郵便局、また、地域の公的機関との合築による郵便局等、地域社会の特性に合った郵便局局舎の建設を推進している。
 エ P-SATの活用による地域社会への貢献
 郵政省では、全国を結ぶ郵便局ネットワークを高度化して、地域の情報化の推進に貢献するとともに、事業運営の高度化・効率化等を図るため、郵便局等に衛星通信の受信装置を設置し、衛星通信を利用して各種の情報通信を行う郵便局衛星通信ネットワーク(P-SAT)の運用を3年4月より開始した。
 現在、全国約 300の郵便局等に端末が設置され、映像によって地域の特産物・地場産業・観光情報等全国各地のふるさと情報、最新の経済・生活情報等を提供することにより、地域の情報化の推進及び地域住民の利便の向上等を図っているところである。
 なお、5年度においては、P-SATの一層の効果的活用を図るため、郵便局への情報連絡の迅速化・効率化、コミュニティ情報の提供等利用者への提供情報の多様化を図るなど、ソフト面の充実を推進していくとともに、環境にやさしい情報通信基盤の充実策の一環として、P-SATを活用したテレビ会議システムを導入する予定である。
 オ ハイビジョン機器の導入による地域情報化への貢献
 我が国においては、多極分散型国土の形成や豊かさが実感できる社会の実現に向けて、地域の情報化の推進が重要な課題となっている。
 郵政省においても、地域の情報通信基盤の一つの拠点としての郵便局を通じて、積極的に地域社会の情報化と地域住民の利便の向上に貢献していくこととしており、地域と国民のこうしたニーズに的確にこたえていくために、郵便局窓口に最新映像情報メディアであるハイビジョン放送受信システムを導入することにより、窓口の環境整備とともに地域の情報化推進の一助とし、もって地域住民に親しまれる郵便局づくりを行うこととしている。
 昭和63年度より、ハイビジョン・シティモデル都市、都道府県庁所在地、テレトピア指定地域、郵トピア指定地域等に所在する郵便局に配備を開始し、4年度末までに36台配備しており、5年度にも引き続き配備を拡大していく予定である。
 カ 郵便局における国際ボランティア貯金による国際貢献
 国際ボランティア貯金は、預金者から通常郵便貯金利子の20%の寄附を得、民間海外援助団体(NGO)を通じて、開発途上地域の住民の福祉向上のために活用することによって、国民参加による民間レベルでの海外援助の充実に資することを目的とするものである。3年1月より取扱いを開始し、3年度は 461万人(累計 674万人)を超す人々から27億円もの寄附金が寄せられた。
 4年6月、この寄附金のうち23億 2,636万円を全国 185団体が実施する 250援助事業に第2回目の配分をし、アジア、アフリカを中心とした世界49か国において、貧困や災害で苦しんでいる人々のための医療・保健衛生指導や教育関係、自立を促すための職業訓練や農業等の技術指導、さらには環境保全対策、食料援助等に広く役立てられている。
 また、5年3月には、緊急援助として2億7千万円を4団体が実施する4事業に配分した。
 5年3月末には国際ボランティア貯金の加入者は約1045万人に達するなど、郵便貯金の顔として国民の間に着実に根付いてきているところである。
 キ 郵便局の外貨両替サービスの改善
 国際化時代における利用者ニーズに的確に対応するため、郵政省では、3年10月より全国の 100の郵便局で、外国通貨の両替及び旅行小切手の売買のサービスを開始した。
 取扱通貨は、外貨両替が米ドル、フランス・フラン、カナダ・ドル、英ポンド、ドイツ・マルク、オーストラリア・ドルの6通貨で、旅行小切手については、これら6通貨建てに日本円建てを加えた7通貨建てとなっている。
 4年8月からは、取扱郵便局を 100局から 200局に増やすと同時に、旅行小切手については従来一部の郵便局が全通貨建てで取り扱っていたが、 200局全局で全通貨建ての旅行小切手を取り扱うこととするなど、サービスの改善を図っている。4年度の取扱状況は、総取扱数約8万3千件、総取扱金額約74億円と順調に推移した。
 5年度以降においても、順次取扱郵便局を増やしていく予定(5年度には60局を予定)であり、これにより地域住民の利便の向上及び地域の国際化に貢献していくこととしている。
 ク 郵便貯金資金・簡保資金の運用を通じた貢献
 郵便局は、国民に最も身近な金融機関として、簡易で確実な貯蓄手段を提供し、その経済生活の安定や福祉の増進並びに健全な資産形成に貢献してきている。
 郵便貯金として預入された資金は、資金運用部に預託され、財政投融資の主要な原資として、地方公共団体や住宅金融公庫、日本道路公団等の財政投融資機関、個人等に融資され、社会資本の整備や国民生活の質の向上、地域の振興等に重要な役割を果たしている。
 また、郵便局では、簡易に利用できる生命保険サービス(簡易保険)を国民に提供しているが、簡保資金は全国津々浦々の郵便局を通じて全国の加入者から広く集められた資金であることから、その運用に当たっては、加入者の身近なところで役立てられるよう、地方還元を図っている。特に地方公共団体へは、地域の郵便局を通じて融資され、学校の建設や公園・下水道の整備、さらには公営住宅の建設等、豊かなまちづくりに貢献している。
 4年度末現在の簡保資金の地方公共団体への融資残高は、約10兆9千億円で、5年度には1兆 3,100億円を融資することとしている。
 さらに、国際援助として、財政投融資計画を通じて、日本輸出入銀行及び海外経済協力基金に融資することで、日本と外国との経済交流、開発途上にある海外の地域の産業の発展、経済の安定等にも貢献している。

第2-4-2図 活き活き情報交流サービスのシステム図

第2-4-3表 活き活き情報交流サービスの情報提供都市

第2-4-4図 郵便切手等の海外販売概要図

郵便局と町民体育館との合築(福島県伊達郡保原町)

郵便局衛星通信ネットワーク(P-SAT)

簡保資金等による地域社会への貢献(本州四国連絡橋)

 

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