平成5年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

(2)  環境監視のための技術開発・国際協力

 電波や光を用いた計測技術は、環境モニタリングを通じて、環境状態の継続的な監視と環境悪化要因の解明に、また、地球環境情報ネットワ-クは、観測デ-タの有効な利用等にそれぞれ大きな役割を果たすことができる。このように、国際協力を促進し、世界的規模における技術開発の推進を図ることが今後一層重要になっている。
 3年度からは、日米共同熱帯降雨観測衛星(TRMM)搭載用降雨レーダの開発を行い、降雨レーダ、マイクロ波、可視・赤外線の各データの相互利用等により地球的規模における気候変動の観測体制の強化を図るなどの措置が実施されている。なお、本衛星は、9年度中に打ち上げが予定されている。
 4年度の新規施策として、同年10月から「地球環境保全国際共同研究推進会議」を開催するとともに、オゾン層破壊や地球温暖化に密接に関わりのある中層大気(高度約15〜100km )の総合的観測システムの開発や極域における中層大気の共同観測・共同実験に着手した。このプロジェクトは、アラスカ大学を中心とした米国と我が国との国際共同研究であり、日米科学技術協力協定に基づく案件として採択されている。
 また、「高分解能三次元マイクロ波映像レ-ダによる地球環境計測技術の研究」が、5年度から12年度にかけて8年計画で実施される。これは、海洋汚染、砂漠化等の環境問題はもとより、地震や洪水等の自然災害に対し、機動的な対処を行い、影響の大きさやそれによる環境の変化を予測するために、世界で初めて3次元立体映像を用いた観測体制を整備し、それを可能にする航空機搭載型のレ-ダの開発と合わせて、人工衛星搭載型レ-ダの基礎技術の確立も目指している。
 さらに、5年度から「アジアにおける地球環境計測技術の共同研究」を推進する予定である。これは、アジア地域におけるピナツボ火山の噴火や熱帯雨林の破壊等、急速な環境の悪化に対処するために、開発途上国自らが、電磁波を利用した高度な地球環境計測が可能となるように技術セミナ-を開催し、計測機器等の共同研究を実施するものである。

 

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