平成5年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

2 情報通信の高度化を目指して

 現在、情報通信を取り巻く環境は、多数の新規事業者の参入、多種多様なサ-ビス及び端末機器等の出現により、大きな変化を遂げている。
この様な状況の中、新たに、中長期的な観点から、情報通信の高度化について、具体的・定量的に展望し、望ましい方向への発展を支え、促進するような施策を考えていく必要性が高まってきた。このような理由から、電気通信審議会に対し、「情報通信高度化ビジョン」の策定が、3年5月に諮問、4年6月に答申を受けている。答申の中では、豊かさを実感できる社会づくりと情報通信との関係に配慮し、多様化する消費者ニ-ズの充足に重点を置いた情報通信の高度化の展望とこれを支える政策の在り方に焦点を当てている。
 まず、今後の情報通信政策の基本的方向性に関する分析の中では、豊かな社会を実現するための情報通信の役割として、[1]経済の持続的発展、[2]ゆとりある生活環境整備への貢献、[3]国際社会の一員としての責務遂行の3点を挙げている。そしてこれらを実現していくために、情報通信が目指すべき方向性としては、電気通信市場の競争状況の出現や特定の機器に依存しないシステムの構築が可能となった時代における利用者の主体性の確保、制度の透明性と競争条件の実質的な対等性の確保等の視点が重要であると指摘している。また、具体的な政策課題としては、[1]研究開発の推進、[2]高度なネットワ-クの整備、[3]人材の育成、[4]ソフトウェアの重視の4点が必要であると言及している。
 さらに、21世紀に向けた長期的な課題としては、[1]情報通信インフラの整備、[2]新たな情報環境への対応が重要であると分析している。特に、インフラの整備の在り方としては、現在、ケーブルテレビ、衛星通信の整備が進み、広帯域ISDNが登場しようとしている状況を踏まえ、当面の対応としては、[1]インフラ間の競争推進、[2]新しい高度なインフラ整備のインセンティブの付与及び公正競争のための条件整備、[3]インフラの全国的な利用の確保、インフラ間の優位性を明らかにするための検討及び電線類の地中化をはじめとする街並みとの共存の確保の重要性を指摘している。
 最後に、情報通信の高度化の動向として、今後5年間の情報通信産業の市場規模予測を行っている。これによると、3年度末に59兆円(推定)の市場規模が8年度末には、79兆円に達すると予測、この間の伸び率は、34.9%であり、名目GNPの伸び率が29.9%と予測されていることから、情報通信分野は、日本経済全体の成長率を上回る成長を遂げるものと分析されている。
 

 

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