平成5年版 通信白書

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第3章 映像新時代を迎える情報通信

2 映像市場等の動向

 (1) 映像メディアの市場規模

 近年の多メディア・多チャンネル化の急速な進展に伴い、従来の地上波に加え、BS放送、CS放送、ケ-ブルテレビ等の多様な情報通信メディアによるサ-ビスが本格化するとともに、関連する映像メディア市場と映像関連機器の市場を合わせた映像産業の規模も着実に進展している。
 映像産業の市場規模は、3年で6兆 1,457億円となっている(対前年度比 4.0%増)。
 この内訳をみると、映像メディア市場は、4兆 2,692億円となっており、3年前の昭和63年から36.0%の高成長を示した。これは、この間の名目GNP成長率21.0%より15ポイント高く、映像産業全体の拡大ペ-スが日本経済の成長率を大きく上回る結果となっている(第3―2-10図参照)。
 また、映像関連機器は、1兆 8,765億円となっている。
 ア ケ-ブルテレビ
 我が国のケ-ブルテレビ事業は、従来、難視聴対策の一環として行われてきたが、近年、大都市部を中心に多チャンネルの番組を提供するケーブルテレビ事業者が急速に増加してきているが、これは、特に民間通信衛星を利用したケーブルテレビへの番組供給体制(スペ-スケ-ブルネット)が実現したことによる影響が大きい。
 「情報通信高度化ビジョン(郵政省)」の推計によると、3年度のケ-ブルテレビの市場は、 525億円となっており、市場は順調な伸びをみせている。
 イ 衛星テレビ放送
 3年4月から、我が国初の民間衛星放送である日本衛星放送(株)(JSB)が有料放送サ-ビスを開始した。これにより、衛星によるテレビ放送は受信料放送によるNHKの2局及び有料放送による民放の1局となった。
 3年度の衛星テレビ放送の営業収益をみると、衛星系民間テレビ放送が 314億円、NHK衛星放送の経常事業収入は、 321億円となっている。
 衛星テレビ放送の契約加入数も4年12月末現在で、NHK、JSB合わせて約 586万件となっている。今後も衛星放送のメディア特性を生かした放送を行っていくことにより、市場は拡大していくことが予想される。
 ウ 地上波テレビ放送
 3年度の地上波テレビ放送の営業収益をみると、地上系民間テレビ放送が1兆 8,736億円、NHK地上波放送の経常事業収入は、 4,909億円となっている。
 民間放送は、1988年からの3年間で27.0%の高い成長率を遂げた。これは、この間、日本経済が高い成長を続け、広告宣伝費が大きく伸びたことによる。
 エ 映画
 (社)日本映画製作者連盟資料によると、映画の興行収入は、3年で 1,633億円(前年度比 5.0%減)となっている。
 これは、近年、映画の観客動員数が鈍化傾向にあり、興行収入の伸びも鈍化傾向にあるためと思われる。特に邦画は、元年、2年と興行収入が減少している。
 オ ホ-ムビデオ
 3年のホ-ムビデオの市場は、(社)日本ビデオ協会資料によると1,538 億円となった。うち、レンタルビデオが 521億円、セルビデオが1,017 億円となっている。昭和63年度からの3年間で42.7%増となっている。
 レンタルビデオは、1980年代に登場後、急速な市場の拡大をみせたが、その後市場は、一段落といった様相をみせている。また、セルビデオは、近年の低価格化傾向に伴い、市場も拡大傾向を示している。
  カ ビデオディスク
 ビデオディスク市場は、(社)日本ビデオ協会資料によるとビデオカラオケの売上が最も大きく、市場の70%を占めており、ビデオディスクの市場は、業務用が中心となっている。その他、劇映画が市場の10%、アニメ-ションが市場の7%を占めている。
 3年のビデオディスクの売上高をみると、 1,365億円と3年前の昭和63年と比較して、36%市場が拡大している。
 キ ゲ-ム
 映像を利用したゲ-ムには、家庭で行うテレビゲ-ムとゲ-ムセンタ-・ゲ-ムコ-ナ-等のいわゆるア-ケ-ドゲ-ムに分けられる。
 「レジャー白書((財)余暇開発センター)」によると、TVゲ-ムの市場は、3年で 3,630億円と3年前の昭和63年から17.5%増と順調な拡大を続けている。これは、ハ-ドの高機能化に伴い、良質なゲ-ムソフトが続々登場してきたことによるものと思われる。
 また、ア-ケ-ドゲ-ムは、昭和63年以降、市場は拡大を続け、3年までの3か年の平均伸び率は、17.1%と順調な伸びをみせている。これは、体感シュミレ-ションゲ-ム機などの導入により、集客力を高めたことによる影響が大きいと思われる。
 ク 展示映像
 「日本の広告」((株)電通)による3年の展示映像の市場は、約5,591 億円と3年前の昭和63年と比較して62.4%増と大きな伸びをみせている。
 これは、この間、日本経済が好景気にみまわれた中で、大都市、地方をとわず、博覧会ブ-ムが起きたことによるものと思われる。
 最近では、景気の後退に伴い、博覧会ブ-ムは、一段落したが、博覧会に代わって、大人も楽しめるゲ-ムセンタ-としてテ-マパ-クやアミュ-ズメント施設の建設が進んでおり、今後も市場は順調な拡大を続けていくものと考えられる。
 ケ 映像関連機器
 映像関連機器とは、ここでは、「TV受像機」、「VTR」、「ビデオディスク」及び「ビデオカメラ」を合計したものである。
 「機械統計月報(通産省)」による映像関連機器の動向をみると、昭和63年以降、市場は減少を続け、3年の市場は、1兆 8,765億円(対前年比 0.2%減)となっている。これは、「TV受像機」、「VTR」及び「ビデオカメラ」の家庭への普及が一段落したためと考えられる。
 今後、映像関連機器市場は、大型テレビの普及、ハイビジョン機器の市場への投入等により、市場の拡大が期待されるところである。

第3-2-10図 映像メディアの市場

 

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