第2章 情報通信政策の動向
(2) 移動機売り切り制度の導入について
昭和60年、電気通信自由化の際、本電話機の利用者所有(売り切り)ができるよう制度改革が行われたが、自動車・携帯電話の移動機については現在まで電気通信事業者によるレンタルのみで、売り切りは実施されていない。 しかし、近年の電気通信技術の著しい進歩に伴い、移動機の技術が安定化し、また、低廉かつ多彩なものが出現しつつあり、移動機の分野にも競争原理を導入しうる環境ができつつある。 移動機の売り切り制度が導入されれば、自動車電話サービスの月額基本料等が低廉化したり、競争による移動機の低価格化や小型化等の多様化が一層促進されるなど、利用者に大きなメリットをもたらすことが期待できる。 一方、移動機の売り切り制度が導入されることにより、移動機の不正使用等の問題が生じるおそれがある。 このような諸課題を解決し自動車・携帯電話機等を利用者が所有できるようにする方策について検討するため、郵政省は、4年9月から「移動機の在り方に関する調査研究会」を開催し検討を行ってきたが、同年12月報告書がまとめられた。 報告書では、売り切りの効果を多くの国民が享受できるようにするとともに、自由競争による市場の活性化を図るためには、アナログ方式、デジタル方式を含め全機種について販売主体を限定しない完全売り切り制度とすることが望ましいとしている。 さらに、売り切り制度の実施時期については、所要の準備期間を考慮し、各種の自動車電話システムが出そろう6年4月が妥当であるとしている。 郵政省では、基本的に本調査研究会の結論に沿ったかたちで売り切り制度を実施できるよう、5年3月から「自動車・携帯電話料金に関する調査研究会」を開催するなど、所要の準備作業に取り組んでいるところである。
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