第2章 情報通信政策の動向
(4) その他の電波利用システムの普及促進
ア 都市向け高度防災同報無線システムの開発 現在、全国の約半数の市町村では、住民へ災害情報等を伝達する手段として、防災同報無線システムを整備、活用している。同システムは、主として屋外スピーカー等を通じて音声により災害情報等を住民に伝達するものであり、このスピーカーからはかなり大きな拡声音が流れる。 このため、特に都市部においては、スピーカー近隣の住民から騒音苦情等が寄せられるなど、実質的に利用が減っているのが現状である。 このため、郵政省では、新たに「サイレント同報無線システム」として、データ伝送、映像伝送を中心としたより利用しやすい防災無線システムを開発することとし、4年7月から「都市における高度防災同報無線システムに関する調査研究会」を開催し、5年度末を目途に調査研究を進めているところである。 イ 無線LANシステムの技術基準等の整備 近年のパソコン、OA機器等の各種情報処理端末機器の出現に伴い、オフィスや工場等におけるこれら情報処理端末機器相互を結んだLAN(ローカル・エリア・ネットワーク)の構築の機能性や柔軟性を持たせるため、従来の有線から電波を利用する無線LANシステムの早期実現が求められている。 このため、郵政省では、4年12月関係郵政省令の改正により、2.45GHz 帯の周波数を利用した中速無線LANシステム及び19GHz 帯の周波数を利用した高速無線LANシステムの技術基準等を定めたところである。 なお、今後ミリ波等の周波数を利用する無線LANシステムについて引き続き実用化のための検討を進めていくこととしている。 ウ 規制緩和の推進 郵政省は、無線局免許申請手続、定期検査及び無線局の運用に関する規律の緩和並びに技術基準適合証明制度の拡大を図るため、4年12月関係郵政省令の改正を行った。主な改正の内容は、次のとおりである。 [1] 無線設備の工事設計の変更について、許可を必要とせずに変更できる範囲を拡大。 [2] 変更検査を要しない無線設備の変更の工事の対象を拡大。 [3] 一定の無線局について、無線業務日誌に記載しなければならない事項を簡略化。 [4] 放送局以外の無線局の抄録を廃止し、放送局の抄録に記載しなければならない事項を簡略化。 [5] 無線局の免許申請書に添付する工事設計書の記載を簡素化。 [6] 航空局、陸上移動中継局及び地球局のそれぞれの一部について、定期検査を行う時期の間隔を延長。 [7] 防災同報無線の子局、テレメータ系の子局、非常警報用無線局等の無線設備を技術基準適合証明の対象設備に追加。
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