平成5年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

(4) ITUの動向

 ア ITU追加全権委員会議の開催
 国際電気通信連合(ITU)は、前身である万国電信連合の時代を含めれば、これまで1世紀以上にわたり電気通信分野における国際秩序を維持する国際機関として存続してきた。しかし、情報通信分野を取り巻く環境が急激に変化する中で、ITUが、今後も国際電気通信分野における主導的役割を担う国際機関として機能し続けるため、これらの環境変化に的確に対応できるような組織・機能とすることを目的として、ITU追加全権委員会議が1992年12月にスイスのジュネーブで開催された。
この会議においては、従来のITU条約に代わるものとしてITU憲章及びITU条約が作成され(発効日は1994年 7月 1日) 、従来の国際周波数登録委員会(IFRB)を非常勤委員で構成する無線監理委員会に改組することをはじめとした、ITUの歴史上始まって以来の大幅な組織改正が次のとおり行われた。
[1] ITUの主な活動を、標準化、無線通信、開発の三つに区分し、組織上、電気通信標準化部門、無線通信部門、電気通信開発部門として整理・統合する。
 電気通信標準化部門は、従来の国際電信電話諮問委員会(CCITT)と国際無線通信諮問委員会(CCIR)の活動の一部を統合したものであり、電気通信の技術、運用及び料金に関する標準化問題を研究し、これらについての勧告を行う。
 無線通信部門は、従来の無線通信主管庁会議(WARC)とCCIR及びIFRBの活動を統合したものであり、無線通信規則の改正、無線通信の技術・運用等の問題の研究及び勧告の作成、周波数の割当・登録等を行う。
 電気通信開発部門は、電気通信開発の促進を図るために、開発途上国に対して技術協力を行う。
[2] 各部門は、それぞれ1つの会議、研究委員会、事務局(1名の選出された局長により指揮)によって構成される。
[3] 従来、5名の常勤委員(選出)により行われていたIFRBの業務は、9名の非常勤委員(選出)から成る無線監理委員会(無線通信規則の解釈等)と無線通信局長(日常業務等)により行われる。
[4] ITU活動への参加者を、従来の電気通信事業者、電気通信メーカー等に限らず、金融機関、開発機関及び電気通信事業者、メーカー以外の電気通信を取り扱うものに拡大したほか、国際的及び地域的な金融機関、開発機関等についても参加を可能とする。
 イ 第1回世界電気通信標準化会議の開催
 電気通信の世界標準を審議するITUの世界電気通信標準化会議(WTSC)の第1回会合が、1993年3月にフィンランドのヘルシンキで開催された。会議の概要は、次のとおりである。
[1] 近未来の電気通信サービスとして期待されるパーソナル通信及び広帯域ISDN等に関する勧告案並びにこれらのサービスの高度化をさらに進めるための来会期(1993年-1996年)の電気通信標準化部門の研究課題案が承認された。
[2] 情報通信分野の急速な進展に電気通信標準化部門が、より迅速・柔軟に対応するため、電気通信標準化アドバイザリーグループ、部門間調整グループ及び共同調整グループを設置することとした。また、標準化活動の効率化、迅速化及び円滑化を進めるため、作業方法及び手続き規定、勧告の出版、電子文書システム(EDH)の開発等の決議が採択された。
[3] 来会期、電気通信標準化部門に設置される15の研究委員会の議長・副議長の任命が行われ、我が国から議長1名、副議長6名が任命された。
[4] 電気通信標準化部門が、電気通信開発局と連携・協力し、最新の標準化の動向についての情報提供、開発途上国の標準化活動への参加促進を図る決議が採択された。

 

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