平成7年版 通信白書

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コラム

コラム7 災害情報の伝達に貢献する情報通信

 阪神・淡路大震災においては、電話網をはじめライフラインである情報通信ネットワークに大きな被害が生じ、救援・復旧活動等に支障が生じた一方、地元の放送局やパソコン通信、インターネット等により、地震発生当初から被災情報、安否情報等が提供され、きめ細かな救援情報等の被災者への伝達、被災情報の全国、世界への発信に、情報通信は威力を発揮した。

1 地元放送局によるきめ細かな災害情報の提供

 神戸市中央区に本社のあるFM放送局では、兵庫県を中心に音楽番組を放送しているが、地震発生後まもなく音楽中心の番組編成を変更し、24時間体制できめ細かな災害情報・生活情報等の放送を続けた。また、被災した外国人向けに英語で、随時生活情報の放送を行ったほか、外国人のための電話ホットラインも開設して、情報提供や相談に応えた。
 神戸市須磨区に本社のあるAM放送局では、地震発生後まもなく午前9時半から、電話により問い合わせを受付け、被災者の安否に関する情報の放送を続けた。西宮市に本社のある都市型ケ一ブルテレビ会社では、2つの地域チャンネルを災害専用のチャンネルとして、うち西宮市広報用のチャンネルでは、同市災害対策本部からの情報を文字放送で送信したほか、同社独自のチャンネルでは、独自に情報を収集し、開業している銭湯等地域の住民にきめ細かな生活関連情報を提供した。

2 パソコン通信による災害情報報の交換

 大手パソコン通信サービス提供会社では、17日午後から阪神・淡路大震災に関する電子掲示板を開設するとともに、各社が協力して、「パソコン通信ボランティアネットワーク」を構築した。掲示板には、被災地の情報提供、被災者の安否を尋ねるメッセージ、消息に関する情報が交わされたほか、被災地の被害情報、交通情報、救援物資等の救援情報等テレビや新聞等のマスメディアでは伝えられないような細かい情報が多数寄せられた。
 また、兵庫県及び現地政府対策本部では、災害情報の提供等にパソコン通信を取り入れ、被災地における情報交換ツールとして活用された。

3 インターネットによる被災情報の提供

 インターネットは、世界規模のコンピュータ・ネットワークであり、世界各国の様々な研究機関や企業、個人が多様な情報を発信しているが、阪神・淡路大震災では、地元の大学や企業をはじめ、多数の大学・研究機関や企業がインターネットを通じて、被災地の画像、安否情報、地震に関する学術情報等を世界に発信した。
 このうち、神戸市の大学では、18日から被災情報の提供を開始し、ビデオカメラで撮影した被災地の画像や神戸市の作成した焼失地域の地図、避難所の一覧等の情報を日本語と英語で提供しており、米国をはじめ国外からも多数のアクセスがあった。


神戸市によるインターネットを通じた被災情報の提供



 

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