平成7年版 通信白書

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第3部 マルチメディア化と情報通信市場の変革

2 民間の標準化推進活動

 近年の急速な技術革新により、情報通信技術分野の標準化において、既存の標準化組織では対処できなかったり、急速に進展する技術に追い付けなかったりなどという問題が生じている。そこで、機器メーカー、通信事業者、ユーザー等が集まり、ITU等において勧告化された標準方式に関連した、普及促進や実装仕様の検討等を行うために、民間の標準化推進組織(フォ-ラム等)を結成する試みが行われている。
 ここでは、民間の標準化推進活動の具体事例として、ATMフォーラム、DAVIC(Digital Audio/Video Interactive Council) の動向を取り上げる。
 

(1)  ATMフォーラム


 ATMの標準化は、従来よりCCITT(現ITU-T)において広帯域ISDNの標準化の一環として公衆網と私設網を一体として検討されてきたが、ITU-Tでの標準化を補完するために、1991年に米国でATMフォーラムが発足し、通信機器ベンダー、LANベンダー、コンピュータベンダー、キャリア、ユーザーをメンバーとして活動している。
 ATMフォーラムの主目的は、ITU-T等の国際標準に基づいた製品間の相互接続のための実装標準仕様の作成と、エンドユーザーの積極的な参加による技術啓もう、普及促進である。検討対象としてLANのほか、LAN間接続、公衆網も念頭に置かれている。
 当初は4社でスタートしたATMフォーラムも、現在では、日本、欧州の企業等も参加して会員数は 600社を超えている。1992年には欧州委員会等が設立され、5年11月にはATMフォーラム日本委員会が設立された。また、6年11月には京都で日本初の会合が行われた。
 ATMフォーラムが作成するのは、製品化や製品間の相互接続に必要な実装のための技術仕様であり、ITU-T等が決めた標準を踏まえ実装に必要な仕様内容を補完する立場にある。ATMフォーラムで取りまとめられた仕様は一般にも公開され、製品化、システム化へのフィードバックが迅速に行われている。
 1993年には「UNI3.0」が公開され、PVCによるATMサービスが実現した。また、1994年には「UNI3.1」が公開され、SVC(Switched Virtual Channel)への展開が図られた。また、1995年には「UNI4.0」が公開される予定になっている。
 また、ATMとMPEG-2を利用したビデオ・オン・デマンドの実験が多種行われていることを背景に、実用化を控えたシステムや機器の相互接続性の維持のため、ATMとMEPG-2を統合するための作業にも着手している。
 

(2)  DAVIC


 双方向サービス分野でも標準化活動が行われており、6年6月に映像や音声を使った双方向サービスを提供するシステム間の相互接続性を確保するためにDAVICが設立された。DAVICには、日米欧を中心にコンピュータメーカー、家電メーカー、通信機器メーカー、ソフトウェア会社、電気通信事業者、ケーブルテレビ事業者、教育機関等 100を超える様々な業種の企業、団体が参加している。
 DAVICでの当初の標準化作業はビデオ・オン・デマンドに限定し、1995年12月に標準を確立することを目指している。1994年9月のパリ総会では、ビデオサーバ、セット・トップ・ボックスなど5つの技術委員会を発足させた。同年10月には、標準案の募集要項にあたる「Call for Proposal 」が発表され、同年12月の東京総会では、ビデオサーバやセット・トップ・ボックスを開発するメーカーなどから多数の標準案が提案された。DAVICでは次期総会でこうした提案を基に何を標準にすべきか決める予定である。さらに、DAVICではこうした仕様の決定だけでなく、相互接続試験にも意欲的に取り組む予定である。

 

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