平成7年版 通信白書

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第2部 情報通信政策の動向

4 阪神・淡路大震災

 7年1月17日、兵庫県南部を震源とするマグニチュード 7.2の「平成7年兵庫県南部地震」が発生し、家屋の損壊等により、5千名以上が死亡するなど、阪神・淡路地域を中心に各地にかつてない被害が生じた。
 郵政省では、同日直ちに本省、近畿郵政局、近畿電気通信監理局内において各々「平成7年兵庫県南部地震非常対策本部」を設置し、郵政事業、電気通信行政に係わる施設に関する被害状況等を把握して、災害応急対策、復旧対策の措置を講じたほか、6年度第二次補正予算において復旧のための財政、金融上の支援措置等を盛り込んだ。その内容は次の通りである。
 

(1) 電気通信関係


 ア 被災及び復旧状況
 加入電話については、最大時30万を超える加入電話に障害が生じたが、1月末までに家屋の倒壊によるものを除きおおむね復旧した。
 移動電話基地局については、最大時 145局に障害が生じたが、1月24日までに建物倒壊による1局を除き復旧した。残る1局も3月7日に復旧した。
 専用回線については、最大時約 4,000回線に障害が生じたが、1月末までに家屋の倒壊によるものを除き概ね復旧した。
 イ 対策
 通信機能の回復に努めるとともに、電気通信事業者、メーカー等の協力により、無料公衆電話・公衆ファックス(約 2,900台)等の設置、移動無線機( 4,467台)の無償貸与、衛星通信用地球局(20台)及び同報系防災行政無線(71台)の無償貸与、国際通信サービスの確保、電気通信料金の減免等、パソコン通信ボランティアネットワークを活用した所在情報の提供、ビデオテックス端末による震災情報の提供、仮設住宅用電話機の寄贈(3万台)、緊急の検討会(大震災対応の通信ネットワーク体制に関する検討会)の設置(後述)、災害復興のための高精度衛星測位システムの導入を行った。
 

(2) 放送関係


 ア 被災及び復旧状況
 NHKについては、テレビ中継局(教育)7局が停波したが、いずれも1月19日に復旧した。
 民間放送事業者については、テレビ中継局3局及びFM局2局が停波したが、いずれも1月19日までに復旧した。
 ケーブルテレビ事業者については、停波した都市型ケーブルテレビは7施設あったが、いずれも1月17日中に送信を再開した。
 イ 対策
 放送事業者等の協力により、災害放送の継続及び聴覚障害者への情報提供、NHK放送受信料等の免除、被災者支援放送の実施、「災害対策関係連絡会」の実施、放送を通じた義援金の募集を行った。
 また、通信機器メーカ等の協力により、兵庫県内に携帯ラジオ(1万5千台)の無料配付、神戸市内等の避難所にテレビ等の設置を行った。
 このうち、被災者支援放送は、兵庫県によって7年2月から3月まで、郵政省、NHK等の支援により実施され(臨時災害FM局「FM796-フェニックス」)、被災地における住民等に対し、その救援に資する生活情報(震災関係情報、ライフライン復旧状況、交通情報等)のきめ細かな提供がなされた。
 

(3) 郵便関係


 ア 被災及び復旧状況
 普通郵便局が1局使用不能により解体された(神戸港)ほか、2局が一部損傷した(神戸中央、長田)。特定郵便局については、15局が全壊等により建替えが必要になったほか、12局に大幅な修復を要する被害が生じた。
 業務運行の状況は、取集業務が1月20日以降全局で執行され、配達業務は、速達が1月20日以降、通常配達が1月31日以降全局で執行されるようになった。
 イ 対策
 被災者の救助を行う団体にあてた救助用・見舞用の現金及び物品を内容とした郵便物の料金免除、災害対策本部等への郵便番号の設定による住所記載省略、集配郵便局等の窓口取扱時間外においても速達郵便物等と同様に引受けを実施、被災者が差し出す郵便物の料金免除、7年用寄附金付お年玉付郵便葉書等に付加された寄附金の配分、寄附金付郵便切手の発行の決定、避難所に避難している被災者への葉書の交付等、避難所に避難している被災者への配達等、救助用小包郵便物の郵便局における開披、文部省・大学等に対し、受験関係郵便物の取扱いに関する協力要請、後納郵便料金の延滞金の免除等、地震直後における一部郵便局の土・日曜日の開局、移動郵便車の設置を行ったほか、郵便物運送自動車が緊急輸送車扱いとなった。
 

(4)  6年度第二次補正予算における復興対策


 ア 災害対策用移動通信機器等の配備
 災害復旧活動の迅速・円滑な遂行を図ることを目的として、携帯電話等の移動通信用無線機(1,000 台)、衛星地球局設備(13台)を地方公共団体に無償貸与する。
 イ 情報通信インフラの復旧
 阪神・淡路大震災において被災した第一種電気通信事業者及びCATV施設設置者の被害の早期復旧を図るため、その復旧費用について、日本開発銀行が超低利で融資する等の災害復旧融資制度が創設された。

電気通信事業者により設置された特設公衆電話(無料),特設公衆電話(無料)に使用される衛星通信用地球局

電話回線の復旧

救助用小包郵便物

 

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