平成7年版 通信白書

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第2部 情報通信政策の動向

2 情報通信基盤整備に向けた技術開発の推進

 

(1)  通信・放送融合時代におけるネットワークに関する技術的諸課題の検討


 これまでの情報通信ネットワークは、電話、ファクシミリ、データ通信等の通信網と放送番組を伝送するケーブルテレビ網とが個別に構築され発展してきているところであるが、既存のネットワークは情報として映像をも取り扱うビデオ・オン・デマンド等の新しいサービスの提供を必ずしも想定していたわけではない。
 一方、情報通信技術は飛躍的に進歩を続けており、光ファイバ通信技術、既存伝送媒体の広帯域化・双方向化技術、デジタル化技術等、通信・放送融合のネットワークを構築するための個々の技術が確立されつつある。
 したがって、今後このような通信・放送融合時代においてネットワークアクセスが確保され、円滑かつ効率的なネットワーク構築とサービスの提供が図られるためには、国民の多様なニーズ、通信網と放送網のそれぞれの発展動向、情報通信端末等のマルチベンダ化等の状況を踏まえて、将来の通信網と放送網の融合化の在り方を含むネットワーク全体の展望とこれに求められる基本的な技術的条件を明確にしていくことが必要である。
 そこで、郵政省では、6年6月に電気通信技術審議会に対して、通信・放送融合時代におけるネットワークに関する技術的諸問題について諮問を行い、同審議会においては、7年9月予定の答申に向けて審議を行っている。
 

(2)  大容量情報通信技術の研究開発


 大容量回線では、動画・データ・音声等の各種情報が統合的に伝送されるようになるため、各種の情報を統合的に扱う地上網の整備が必要であるが、一方、衛星通信においても衛星通信技術の進歩により、さらに大容量化が進みつつあり、今後地上系デジタル通信網と接続される機会が増加するため、地上網と衛星デジタル回線とを効率よく接続する技術が必要である。
 そこで、郵政省通信総合研究所では、5年度第二次及び第三次補正予算により、関西文化学術研究都市内に「精華通信実験施設」を整備し、マルチメディア時代に対応する大容量情報通信技術の研究開発を行っている。
 

(3)  超高速通信ネットワーク実験の推進


 マルチメディア時代に向けて、米国では、超高速ネットワークの実験計画に着手しており、EUにおいても同様の計画が予定されている。
 我が国においても、将来期待されている超高速通信ネットワークの実現に向けて、5年度第三次補正予算により、郵政省通信総合研究所と他の研究所の間を超高速回線で接続する実験施設が構築され、6年度から超高速通信におけるネットワーク運用・利用技術の研究開発等を行っている。
 

(4)  情報通信基盤技術の研究開発


 21世紀のマルチメディア時代に向け、情報通信基盤整備を促進するためには、その実現の鍵となる基礎的・汎用的技術の開発が重要である。
 そこで、郵政省では通信総合研究所に情報通信基盤技術の研究開発施設を整備し、7年度から、2000年を目途に超高速ネットワーク技術、ユニバーサル通信端末技術、高度情報資源伝送蓄積技術等の研究開発を推進することとしている。
 

(5) マルチメディア社会における情報通信に関するセキュリティ技術の検討


 高度情報通信社会に向けて、通信のパーソナル化、マルチメディア化の進展等に伴い、個人のプライバシー、各種情報の公正な利用の確保が極めて重要になりつつある。このような状況の中、情報通信ネットワークを介した個人の情報や商業機密の漏えい、様々なデータの改ざん等を未然に防ぎ、誰もが安心して情報通信を利用できるようにするためには、電子取引に必要な認証技術等の経済的かつ汎用的で高度な情報通信に関するセキュリティ機能を有する情報通信基盤を構築する必要がある。
 そこで、郵政省では、このような情報通信基盤を構築するために不可欠な、情報通信に関するセキュリティ技術を検討するため、「マルチメディア社会におけるセキュリティ技術に関する調査研究会」を7年2月から開催し、国内外の認証・暗号の技術開発及び標準化の動向調査、暗号強度(安全性)の評価等を行い、将来の情報通信に関するセキュリティ方式とそれを実現するために必要な開発研究課題及び推進方策について検討を行っている。なお、同調査研究会では、7年10月に報告書を取りまとめる予定である。
 

(6)  情報通信セキュリティ技術の研究開発


 情報化は医学・教育・学術・行政等種々の分野における課題を解決しうるものであるが、コンピュータ・ネットワーク等への不正侵入やデータの漏えい・改ざんの危険性はその利便性を妨げるものであり、コンピュータが加速度的な勢いでネットワーク化されつつある現在、情報通信セキュリティの必要性が高まってきている。
 そこで、通信・放送機構では郵政省からの出資を受け、暗号化技術、認証技術、アクセス制御技術、ユーザインターフェイス技術等の情報通信セキュリティ技術の研究開発を7年度から実施することとしている。
 

(7)  超高速ネットワークに関する技術開発の推進


 マルチメディア時代に対応するためには、ギガビットクラスの超高速ネットワーク(ギガビットネットワーク)の実現が不可欠である。
 そこで、6年11月、超高速ネットワークの発展を促進するため、郵政省、通信事業者、メーカー、コンピュータネットワークの利用者等の参加により「ギガビットネットワーク協議会」が設立された。
本協議会においては、次のような活動を行っている。
[1] 超高速ネットワークに関する技術の現状把握、技術課題の調査・研究及び今後の技術開発・実験方策の検討
[2] 実験参加機関の各研究所を100 Mb/s を超えるユーザ網インターフェイス速度で接続して行う超高速ネットワーク共同実験
[3] 超高速ネットワークに関する技術開発、利用の推進等に関する情報交流活動
[4] 超高速ネットワークに関し、研究開発、利用促進に資する諸活動を行う他の関係機関との交流等

通信総合研究所精華通信実験施設(京都府精華町)
 

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