平成7年版 通信白書

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第3部 マルチメディア化と情報通信市場の変革

第1節 米国


 1 情報通信政策の枠組み


 米国においては、情報通信政策は、連邦レベルと州レベルでそれぞれ権限を分有している。
 連邦レベルでは、独立行政委員会である連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission )が、国際・州際通信に対する規制、放送規制、電波監理等を担当し、商務省電気通信情報庁(NTIA:National Telecommunications and Information Administration)が、情報通信政策ビジョンの策定、提案等を担当しているほか、司法省反トラスト局が、独占禁止法に基づく活動を行っている。また、議会は、立法による制度・政策の策定を行い、裁判所は、政府の決定に対し訴訟が起こされた場合、判決という形で司法判断を下し、例えば、AT&T分割を決定した修正同意審決(MFJ:Modified Final Judgement)に関連する事項(見直し、特認等)についてはワシントン連邦地裁が担当している。
 州レベルでは、各州の公益事業委員会が州内通信についての規制等の権限を有し、連邦レベルと同様の枠組みが作られている。
 こうした枠組みの中、米国の情報通信市場は、1984年のAT&T分割後の体制を基礎とした競争促進政策が推進されている。その結果、長距離通信分野では、通信料金の低廉化が進み、地域通信分野においても、AT&T分割によってできた7社の地域持株会社(RHC:Regional Holding Company)が互いに競争し、活性化が進展している。また、RHCを中心に、長距離通信事業者、ケーブルテレビ事業者、ソフト事業者等が相互に連携を行う中、ダイナミックな競争市場が創出されつつある。
 情報通信基盤の整備については、これまで民間の電気通信事業者を中心に推進され、政府による積極的な関与はほとんど見られなかった。しかし、現政権においては、情報通信基盤の整備を米国経済の再生に資するものとして大きく取り上げ、政府、情報通信産業及び利用者を巻き込んだ幅広い議論が行われている。

 

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