平成7年版 通信白書

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第2部 情報通信政策の動向

7 電気通信産業振興のための環境整備

 

(1)  7年度税制改正について


 電気通信分野に関する7年度の税制改正については、特定電気通信設備の特別償却制度の対象に、電気通信事業者が整備する加入者系光ファイバケーブル及び光伝送装置が追加(新世代通信網促進税制の対象拡充)され、また、ケーブルテレビ事業者が整備する加入者系光ファイバケーブル及び光伝送装置についても適用対象とする(高度ケーブルテレビ施設整備促進税制)こととされた。さらに、ケーブルテレビ事業者が整備する光ファイバケーブルについては、固定資産税の特例措置ともされることとなっている。
 また、情報通信分野における新規事業の立ち上がりを支援するための「通信・放送新規事業に係る欠損金の繰越期間の特例」が創設された(第2-2-3-14表参照) 。
 

(2)  加入者系光ファイバ網整備特別融資制度の創設について


 加入者系光ファイバ網の円滑な整備を促進するため、2000年までの先行整備期間において、NTT-C´の対象となる第一種電気通信事業者及びケーブルテレビ事業者を対象として、さらに利子負担軽減を助成( 2.5%を下限)する特別融資制度が認められた。
 

(3)  ふるさと融資制度の活用について


 郵政省は、7年度から、地域における情報通信の一層の振興を図る観点に立ち、7年度から実施される予定の加入者系光ファイバ網整備特別融資制度とともに、ふるさと融資制度(無利子)の活用による地域の活性化に積極的に取り組んでいくこととした。
 さらに、今般、過疎地、離島地域、特別豪雪地帯、振興山村及び半島振興対策実施地域における光ファイバ化を促進するため、加入者系光ファイバ網整備事業については、ふるさと融資制度の特例措置(新規雇用の確保用件の緩和)が設けられることとなった。
 

(4)  7年度無利子融資について


 NTT株式売払収入を活用した無利子融資(Cタイプ)・低利融資(C´タイプ)の対象事業においては、新たに、加入者系光ファイバ網整備を促進するため、「高度通信施設整備事業」に加入者系光ファイバ網整備が追加されるとともに、ケーブルテレビ事業者を対象とした「高度有線テレビジョン放送施設整備事業」が追加された。また、高度デジタル技術を用いて視聴者が多様な方法で視聴できる放送番組の制作等を行うための共同利用施設を整備する「受信設備制御型放送番組制作施設整備事業」が既存の「テレトピア指定地域内事業」の枠内として認められた(第2-2-3-15表参照) 。
 

(5)  7年度財政投融資について


 日本開発銀行等の融資対象として、在日あるいは訪日外国人向けに、報道・生活・ビジネス・災害等の各種情報を提供する「外国語放送施設整備事業」が新たに認められたほか、第2世代EDTVの番組を制作しようとする放送事業者等に対する融資制度「第2世代EDTVの普及促進」、テレトピア指定地域内において、ケーブルテレビ事業者等が新たに音声・画像・データ等の各種の情報を一体的に扱うマルチメディア情報通信サービスの実用化に向けたプロジェクトを行うものに対する融資制度「通信・放送高度化プロジェクト支援」が、それぞれ現行の制度の拡充として認められた(第2-2-3-16表参照) 。
 

(6)  通信・放送機構の出資について


 通信・放送機構は、通信衛星・放送衛星の管理・運用等、通信・放送技術の向上を図るための研究、通信・放送分野の高度化の推進等の政策支援を行う郵政省の認可法人である。
 同機構においては、産業投資特別会計からの出資を原資として、継続事業である「人材研修事業」、「有線テレビジョン放送番組充実事業」、「地域拠点都市地域の電気通信高度化促進事業」に対する出資事業のほか、さらに新規事業として、「受信設備制御型放送番組制作施設整備事業」、デジタル衛星放送の開始に対応して、ソフトウェアとの組み合わせ等高度で多様なアプリケーションを可能とするインテリジェント放送システムの研究開発を行うための施設を整備する「インテリジェント放送システム研究開発基盤施設整備事業」に対する出資事業を行うこととしている。
 

(7)  基盤技術研究促進センターの出融資について


 基盤技術研究促進センター(以下(7) において「センター」という。)は、民間において行われる電気通信及び鉱工業分野の基盤技術に関する試験研究を促進するための機関である。センターは、産業投資特別会計から出融資される資金を原資として、試験研究に必要な資金を供給するための出融資事業を行うほか、国立試験研究機関と民間とが行う共同研究のあっせん、海外からの研究者の招へい等の事業を行っている。
 6年度において、新たにセンターの出融資対象として採択された案件は、出資関係が6件(6年度出資額3億円)、融資関係が31件(6年度融資額 6.5億円)となっている。このうち、電気通信関係の出資案件は、「知能映像情報通信の基礎研究」、「次世代デジタルテレビジョン放送システムに関する試験研究」及び「高速・高品質移動通信基盤技術に関する試験研究」の3件(6年度出資額 1.5億円、第2-2-3-17表参照 )、融資案件は21件となっている。
 また、7年度においては、センターは産業投資特別会計からの資金等(出資 206億円、融資54億円、自己資金22億円)を原資として、 206億円の出資事業、76億円の融資事業を行うこととしている。
 

(8)  新しい通信・放送サービスの振興


 高度化・多様化する情報通信に対するニーズに応えていくためには、通信・放送分野の新規サービスの展開が必要である。このような新規サービスを支援することにより、情報流通の円滑化を促進し、均衡の取れた情報化の推進を図る目的で、2年に「特定通信・放送開発事業実施円滑化法」が制定された。支援対象事業としては通信衛星を利用した移動体データ通信等の新しいサービスの提供や既存サービスの改善を目的とした通信・放送新規事業、広帯域のケーブルテレビ等の地域における電気通信の高度化のための地域通信・放送開発事業、高度な電気通信技術の企業化や需要の開拓等を行う通信・放送共同開発事業の3事業がある。
 支援措置としては、通信・放送機構を通じた出資、債務保証、利子補給による金融支援及び情報提供面における支援、また、通信・放送新規事業に係る欠損金の繰越期間の特例、基金に係る負担金の損金算入の特例、無利子融資及び日本開発銀行からの出資等が講じられている。


第2-2-3-14表 7年度情報通信分野における主な税制改正の概要

受信設備制御型放送番組例

第2-2-3-15表 情報通信分野におけるNTT-Cタイプ無利子融資制度の概要

第2-2-3-16表 7年度情報通信分野における財政投融資制度の概要(1)
第2-2-3-16表 7年度情報通信分野における財政投融資制度の概要(2)

第2-2-3-17表 基盤技術研究促進センターの6年度新規出資案件(電気通信関係)
 

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