平成7年版 通信白書

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第3部 マルチメディア化と情報通信市場の変革

1 公的標準化機関による活動

 マルチメディアに関連する標準を策定する国際組織には、主にITU、ISO等がある。ITUは1993年の機構改革により、電気通信分野を取り扱うITU-Tと無線通信分野を取り扱うITU-Rに改組され、それらの下部組織の研究委員会において分野ごとに課題が検討され、この結果が勧告という形で全世界に公開されている。
 これと対応して、各国とも国内に標準化組織を設立している。日本国内では、TTC、RCR等が国内の標準化を行っている(第3-3-2-1図参照) 。
 ここでは、公的標準化機関による活動の具体事例として、画像符号化方式、放送に関わるデジタル規格の標準化の動向を取り上げる。
 

(1)  画像符号化方式の標準化


 画像符号化方式は、ITU-TとISO、IECで標準化作業を行っている。
 まずITU-T SG15において通信メディア用の符号化技術であるH.261が作成された。これをベースとし、ISOとIECの共通の技術委員会であるJTC1の中の作業部会の一つであるMPEG(Moving Picture Coding Experts Group) が蓄積メディア用の符号化技術であるMPEG-1の標準化勧告案を1990年に作成し、1992年に国際標準として勧告化した。これらのグループには通信、放送、コンピュータ、家電、半導体など様々な分野の企業が参加している。
 MPEG-1は画質的にはVTR程度であったため、さらに広範な分野での動画像符号化への要求が高まり「メディアを限定しない汎用符号化」を目標として、ITU-T及びISO/IEC JTC1とが共同で標準技術の作成に着手した。これがH.262(MPEG-2)であって、通信、放送、蓄積メディアへの適用が可能となっている。この勧告はISO/IECにおいては1994年11月のシンガポール会合で国際標準となった。一方、ITU-Tにおいては1995年2月に国際標準勧告案として採択され、同年5月を目途に国際標準として勧告化される見込みである。
 

(2)  放送に関わるデジタル規格の標準化


 放送に関わるデジタル規格の標準化は、主に、[1]スタジオ信号のデジタル規格、[2]番組素材信号のデジタル伝送規格、[3]デジタル放送方式の標準化の3領域で進められているが、ここではデジタル放送方式の標準化の動向を取り上げる。
 放送のデジタル化は、米国におけるATV放送方式と欧州における衛星デジタルテレビジョン放送方式の規格化が、この1、2年で大きく進展する見込みである。デジタル放送方式の標準化は、ITU-Rを中心に進められている。ITU-Rにおいては、
[1] デジタル地上テレビジョン放送の標準化については、6MHz チャンネルを使用する放送方式に関する研究は原則として1995年までに、また、7、8MHz チャンネルを使用する放送方式に関する研究は1998年までに終了し、勧告化すること
[2] 衛星放送については、1993年に衛星デジタルマルチプログラムテレビジョン放送に関する研究課題が承認され、3年以内に勧告化することが要請されている。


第3-3-2-1図 標準化機関・団体の関係
 

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