平成7年版 通信白書

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第1部 平成6年情報通信の現況

 

2 放送事業者


 5年度の放送事業者全体の収支状況をみると、民間放送事業者は、前年度と比べ、2年連続減収減益となっている。また、ケーブルテレビ事業者は、赤字は前年度より減少した。
 設備投資額をみると、5年度の実績額は、前年度実績額と比較すると 4.2%増加しているが、6年度修正計画額は、5年度実績額より16.3%減少している。
 

(1)  放送事業者の経営動向


 5年度の放送事業者全体の収支状況をみると、景気低迷の影響を受けてか、収益(NHKの事業収入、民間放送事業者の総収益、ケーブルテレビ事業者の経常収入の合計)は、対前年度比 1.7%減であった。
 昭和58年度以降の民間放送事業者の営業収益をみても、2年度以降の対前年度比の伸び率が減少し、4年度以降は、マイナスとなっている(第1-2-2-14図参照) 。
 一方、支出(NHKの事業支出、民間放送事業者の総費用、ケーブルテレビ事業者の経常費用の合計)は、 0.9%減少した。
  ア NHK
 5年度一般勘定における事業収入は、対前年度比 2.0%増の 5,512億円、事業支出は同 2.6%増の 5,214億円で、この結果事業収支差金は 299億円となり、対前年度比 7.8%減となった。
 事業収入の内訳をみると、交付金収入は2ケタの伸びを示したが、受信料は 3.3%の伸びにとどまった。一方、副次収入、財務収入、雑収入、特別収入は、大幅に減少した。
 6年度の収支予算は、事業収入 5,666億円、事業支出 5,521億円、事業収支差金 144億円を計上しており、事業収支差金は、前年度収支予算に比して、 154億円減少している。
 また、7年度の収支予算は、事業収入 5,707億円、事業支出 5,734億円、事業収支差金における不足額は26億円となっている(第1-2-2-15表参照) 。
  イ 民間放送事業者
 5年度の民間放送事業者の収支状況をみると、地上系民間放送事業者と衛星系民間放送事業者の営業収益の合計は、対前年度比 3.1%減の2兆 1,171億円と昨年より減少している。
 地上系民間放送事業者の営業収益は対前年度比 3.3%減の2兆 784億円、営業費用は同 2.1%減の1兆 9,932億円であり、経常損益は 888億円の黒字ではあったが、対前年度比28.1%減と減収減益であった。
 事業別に5年度の営業収益の伸び率をみると、ラジオ・テレビジョン兼営社が対前年度比 5.0%減、テレビジョン単営社が同 2.3%減、文字放送単営社が同 9.6%減、ラジオ単営社が同 4.1%減となっている。
 衛星系民間放送事業者の営業収益は 387億円(対前年度比10.7%増)、営業費用は 374億円(対前年度比21.0%減)、経常損益は 109億円の赤字であったが前年度より減少している(第1-2-2-16表参照) 。
  ウ ケ-ブルテレビ事業者
 許可施設により営利を目的としてケ-ブルテレビ事業を行う事業者 213社の5年度の経営状況については、経常収入は対前年度比20.4%増の 807億円、経常費用は同13.5%増の 1,023億円であり、経常損益は 216億円の赤字であったが、赤字額は前年度より減少している。
 

(2)  放送事業者の設備投資動向


 6年3月及び10月に郵政省が実施した「通信産業設備投資等実態調査」等によると、NHKを含めた放送事業者全体の5年度の設備投資実績額( 403社回答)は 2,584億円であり、前年度実績額に対して 4.2%増加している。しかし、NHKは、前年度実績額に対して15.2%、ケーブルテレビ事業者も 5.2%減少した。
 6年度設備投資修正計画額( 403社回答、NHKを含む)は 2,164億円であり、前年度実績額に対して16.3%も減少している(第1-2-2-17表参照) 。
  ア NHK
 NHKの5年度の設備投資実績額は 587億円であり、対前年度実績額と比べて15.2%減少している。また、6年度修正計画額は 600億円であり、前年度実績額に対し 2.1%増加している(第1-2-2-17表参照) 。
  イ 民間放送事業者
 民間放送事業者の5年度の設備投資実績額( 205社回答)は、 1,328億円であり、対前年度実績額と比べて22.8%増加している。6年度設備投資修正計画額( 205社回答)は、 1,072億円であり、前年度実績額に対して19.3%減少している。5年度の実績額が高いのは、主として、本社社屋の建て替えのため多額の設備投資を行った事業者があったためである(第1-2-2-17表参照) 。
  ウ ケーブルテレビ事業者
 ケーブルテレビ事業者の5年度の設備投資実績額( 197社回答)は、 667億円であり、対前年度実績額と比べて 5.2%減少している。6年度設備投資修正計画額 197社回答)は、 491億円であり、前年度実績額に対して 26.4%も減少しているが、現在多数の企業がケーブルテレビ事業への新規参入を計画しており、今後は増加すると思われる(第1-2-2-17表参照) 。


第1-2-2-14図 民間放送事業者の経営状況 営業収益,対前年度比及び指数

第1-2-2-15表 NHKの経営状況(一般勘定)

第1-2-2-16表 民間放送事業者の経営状況

第1-2-2-17表 放送事業者の設備投資額

 

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