平成7年版 通信白書

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第1部 平成6年情報通信の現況

第4節 経済活動と情報通信

 1 景気変動と情報通信


 我が国の景気後退は5年10月に底を打ち、現在回復過程にある。今回の景気後退の期間は30か月で、第二次石油ショック後の景気後退(36か月)に次ぐ戦後2番目の長さであった。
 ここでは、郵便、電話、書籍の3種類のメディアについて、実質国内総生産(実質GDP)及び各サービスの価格指数を説明変数とする需要関数を推定し、実質GDP弾性値を比較することにより、景気変動(実質GDPの変動)が各メディアの需要に及ぼす影響の違いを明らかにするとともに、情報関連投資額と実質GDPの増減率の相関を求めることにより、景気変動と情報通信関連投資の関係をとらえる。
 

(1)  メディアによる景気感応度の差異


 電話、郵便、書籍の各メディアの需要量を(実質)GDP及び価格指数で説明する需要関数の推定結果は第1-2-4-1表 のとおりである。
 需要関数におけるαはGDP弾性値を表し、電話(サービス)需要についていえば、GDPが1%増加(減少)すると電話需要は0.73%増加(減少)することを示している。
 この推定結果によると、各需要関数のGDP弾性値の大きさは郵便、電話、書籍の順であり、事業所からの差出しの多い郵便需要(事業所差出と私人差出の比8:2)が景気変動の影響を最も受けている。
 また、書籍はGDP弾性値が0.09と小さく、景気変動の影響をほとんど受けず、電話はGDP弾性値が0.73で景気変動の影響を受けるものの、郵便と比べるとその影響度は小さいことがわかる。
 景気感応度が比較的大きい郵便物数と実質GDP(いずれも季節調整済)について、昭和60年から5年までの四半期ごとの(対前期)伸び率の推移をみると、元年第3四半期までは、両者の山(伸び率が低下に転ずる点)及び谷(伸び率が上昇に転ずる点)がおおむね一致しているが、元年第4四半期以降については、郵便物数の伸び率の山、谷が約3か月先行する傾向にある(第1-2-4-2図参照) 。
 

(2)  情報通信関連投資への景気変動の影響


 実質GDP、民間設備投資額、情報通信機器投資額の増加率の推移をみると、GDPと民間設備投資額はほぼ同様の推移を示しているのに対し、GDPと情報通信機器投資額の推移には明確な関連が認められない(第1-2-4-3図参照) 。それぞれについて相関係数を算出すると、前者は0.74、後者は0.35である。
 昭和63年までは景気変動に影響されることなく、情報通信機器投資額の増加率が総じて高くなっており、情報通信機器投資額が民間設備投資額に占めるシェアは同年まで上昇してきたが、その後は横ばいで推移している。特に、昭和60年から昭和62年にかけて積極的な情報通信機器投資が行われた結果、民間設備投資額に占めるシェアは昭和60年の9.4 %から昭和62年には13.6%に上昇した(第1-2-4-4図参照) 。


第1-2-4-1表 メディア別需要関数

第1-2-4-2図 郵便物数と実質GDPの伸び率の推移

第1-2-4-3図 情報通信機器投資額等の伸び率の推移

第1-2-4-4図 民間設備投資額に占める情報通信機器投資額のシェア推移
 

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