平成7年版 通信白書

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第3部 マルチメディア化と情報通信市場の変革

2 マルチメディア化やグローバル化に対応した研究開発体制の整備

 従来、我が国の情報通信技術に関する研究開発体制は、NTTやNHKが高い技術力等を背景に基礎研究から開発研究までの幅広い分野で主導な役割を果たし、メーカーは主に応用研究・開発研究を、国は郵政省通信総合研究所等での基礎研究を行ってきている。
 近年、デジタル技術の進展を背景に、通信・放送・コンピュータの融合が技術的に可能となりつつあり、多種多様なマルチメディア・アプリケーションの開発に向けて、従来の業種の枠組を越えた異業種の研究機関・企業が相互に提携したり、競争する動きが活発化している。また、多様なマルチメディア・アプリケーションの実現に不可欠な各アプリケーションに共通的に利用される基礎的・汎用的技術については、コストや研究期間の点での大きなリスクを克服し、その円滑で、かつ早期の研究開発の実施が重要になっている。
 このような環境変化に対応し、マルチメディア時代にふさわしい新しい研究開発体制の構築が求められており、産・学・官の適切な役割分担と連携体制の構築、基礎的・汎用的技術開発に対する国の先導的役割の充実等を図る必要がある。
 また、第1章で述べたように、先進各国における情報通信基盤整備を背景に、シームレスで、グローバルな情報通信基盤の整備の動きが進展しつつあり、21世紀のマルチメディア時代においては、これを基盤としたグローバルな情報通信市場の形成が予想される。
 このような動きが進展する中、米国情報通信産業においては、そのソフト分野における高い国際競争力を背景に、デファクトスタンダードと知的所有権を基盤として将来のグローバル市場に対応しようとしており、我が国情報通信産業においても、従来の国内市場に依存した研究開発からグローバル市場に対応可能な研究開発体制の構築を図る必要がある。
 これらのマルチメディア化及びグローバル化に伴う研究開発体制の環境変化に対応するため、郵政省では、6年11月から「マルチメディア時代の情報通信産業の在り方に関する調査研究会」を開催し、マルチメディア化やグローバル化に対応した我が国の研究開発の今後の在り方等の検討を行っている。また、通信総合研究所において、超高速ネットワーク技術、ユニバーサル技術等の情報通信基盤技術の研究開発を行うこととしているほか、通信・放送機構を通じた先導的研究開発を推進している。

 

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