平成7年版 通信白書

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第2部 情報通信政策の動向

第2節 グローバル化に対応する国際政策の展開


 1 世界情報基盤の整備に関する国際的連携の推進


 

(1)  我が国の取組の方策の検討


 情報通信基盤の整備については、国際的なネットワークの構築という視点が不可欠であり、世界的にも、国際的な連携をとって情報通信基盤整備を進めていくべきであるということが、共通認識となっている。
 我が国としても、このような状況に的確に対応し、これまで以上に国際的な連携を深め、情報通信分野の先進国として、世界的な情報通信基盤の整備に積極的に貢献していくことが一層重要となっている。
 このため、世界的な情報通信基盤の整備に対し我が国としてどのように取り組んでいくかについての具体的な方策を検討し、これを実現していくことが必要不可欠であることから、郵政省は、1994年10月、「21世紀を展望した高度情報通信基盤の整備に向けた国際的連携の在り方について」、電気通信審議会へ諮問を行った。同審議会通信政策部会では、1995年1月、ブラッセルにおける「情報社会に関する関係閣僚会合」に向けて、中間とりまとめを行った。同閣僚会合の結果等も踏まえ、同審議会では、1995年6月に答申を行うこととした。
 

(2)  世界電気通信閣僚会合の開催


 1994年9月、49か国から50名の電気通信担当閣僚が参加し、我が国の郵政大臣の主宰による「世界電気通信閣僚会合(電気通信サミット)」が京都市において開催された。同会合では、「21世紀のインフォメーションネットワーク構築に向けて」をテーマに、各国の考え方が確認された。我が国からは、21世紀の幕開けに向け、情報基盤が地球的規模の課題の克服において人類の最も重要な財産となるとし、[1]高度な情報インフラ整備が我が国の喫緊の課題となっていること、[2]国際的な情報基盤整備に当たっては国際協調が重要であること、との考えが示された。
 また、同会合は、新時代の均衡ある経済発展をもたらす原動力としての電気通信の役割を確認するとともに、情報通信基盤の高度化及びすべての人々に電気通信へのアクセスを保証するための電気通信開発における格差是正について、地球的規模での協力と連携の強化をうたった京都宣言を採択し、閉会した。
 同会合において、参加各国が、21世紀のインフォメーションネットワーク構築に関し、地球的規模での協力と連携の強化について一致したことは、我が国のみならず、参加各国それぞれの政策を固めていく上で大きな成果となり、今後、世界情報基盤(GII)及びアジア・太平洋情報通信基盤(AII)といった国際的な情報基盤整備の在り方について議論を進めていくための重要な土台となるものである。
 

(3)  情報社会に関する関係閣僚会合の開催


 1994年7月にイタリアのナポリにおいて開催された、第20回主要先進国首脳会議(ナポリ・サミット)で、雇用と成長のための政策協調等を主題とする「経済宣言」が採択された。この中で、世界情報インフラの整備を含む技術革新及び新技術の普及の問題をフォローアップするため、関係閣僚会合を開催することが合意された。
 これを受け、1995年2月にベルギーのブラッセルにおいて、G7各国及び欧州委員会から情報通信関係の閣僚が参加して、「情報社会に関する関係閣僚会合」が開催された。
 同会合は、参加各国の閣僚が世界的な情報通信基盤について、その重要性を世界に向かってアピールするとともに、G7各国が世界的な情報社会の実現を先導的に進めていくための共通のビジョンをまとめ、その実現に向けて積極的に協調・協力していくことを目的とするものであった。
 主な成果として、世界的な情報インフラ整備のための8原則及び情報社会構築のための6項目の政策的課題について、以下のとおりG7各国のコンセンサスを得た。
 〔8原則〕
 [1] ダイナミックな競争の促進
 [2] 民間投資の奨励
 [3] 適応可能な規制枠組みの定義
 [4] ネットワークへのオープンアクセスの提供
 [5] サービスのユニバーサルな提供とアクセスの確保
 [6] 市民に対する機会均等の促進
 [7] 文化的及び言語的多様性を含むコンテントの多様性の促進
 [8] 開発途上国へ特に配慮した形での国際協力の必要性の認識
 〔6方策〕
 [1] 相互接続性と相互運用性の促進
 [2] ネットワーク、サービス、アプリケーションの世界的市場の開拓
 [3] プライバシーとデータ・セキュリティの確保
 [4] 知的所有権の保護
 [5] 研究開発及び新たなアプリケーションの開発に関する協力
 [6] 情報社会の社会的影響のモニタリング
 これを受け、今後、我が国としては、従来から進めている競争促進政策等を更に推進するとともに、世界的な情報通信インフラの構築に向けて、関係国際機関において情報通信分野の国際協調・協力を一層強化していくこととしている。また、具体的行動として実施合意がなされた11のテーマのG7パイロット・プロジェクト(第2-2-2-1表参照) について、各項目の推進に関し積極的に取り組むこととしており、特に、我が国が進行調整国を務める4プロジェクトについては、指導的役割を果たすこととしている。


第2-2-2-1表 G7パイロット・プロジェクト
世界電気通信閣僚会合
 

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