平成13年版 情報通信白書

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第1章 特集 加速するIT革命

第1節 IT社会発展の基礎となるブロードバンド化の進展【要旨】

 ネットワークのブロードバンド化及び常時接続の推進は、インターネット利用の高度化を図り、「高度情報通信ネットワーク社会」への移行を実現する観点から、ネットワーク基盤整備において最も重要な課題として位置付けられる。
 我が国のインターネット利用人口は、順調に増加しており、平成12年末には4,708万人(推計値、対前年比74.0%増)にまで増加している。また、その利用動向を見ると、自宅のパソコンからのインターネット利用では一般電話回線による接続は約5割、ISDN(128kbps)以上の回線速度がほぼ5割に達している。常時接続サービスの利用については、フレッツISDNとブロードバンドの利用者が、自宅のパソコンからのインターネット利用全体の12.0%に達している。
 他方、我が国のインターネット利用についてみると、パソコンからのインターネットの利用用途に関する郵送アンケート調査結果では、電子メールの送受信やホームページ上の情報検索との回答が主体(約8割)となっているが、音楽・動画配信やインターネットショッピングの利用の回答比率も3割程度に達し、インターネットの利用用途として定着しつつあると考えられる。なお、我が国の閲覧回数上位30位のサイトを米国・韓国のそれと比較すると、我が国の場合は総合ポータルサイトやプロバイダ系ポータルサイト等情報検索や情報入手を主目的としたサイトが80%を占めているのに対し、米国においては1/4程度、韓国でも1/3程度にとどまっており、ソフトウェア提供サイトやコンテンツサイトなど、エンターテインメント系のコンテンツへの需要が高まっている状況がうかがえる。我が国においても、ブロードバンド化の進展にともない、このようなインターネット利用の高度化・多様化がさらに進展するものと想定される。
 このような状況のもと、我が国においても本格的なネットワークのブロードバンド化の進展が始まっており、いわば「ブロードバンド元年」ともいうべき状況となっている。アクセス回線についてみると、DSLは、平成12年3月には211加入にとどまっていたのに対し、平成13年4月には約11万加入に達したほか、ケーブルインターネットへの加入数も、平成12年3月の21.6万加入から平成13年3月には78.4万加入に達し、急速に増加している。また、東・西NTTが平成12年12月より試験提供していた10MbpsのFTTHサービスを平成13年7月には商用サービス化する予定としているほか、有線ブロードネットワークス社が、既に同年3月より首都圏で100Mbpsの伝送速度のFTTHサービスを開始している。移動体通信においても、平成13年5月にNTTドコモは、将来的には伝送速度を2Mbpsまで拡張可能な第3世代移動通信システム(IMT-2000)の試験サービスを開始し、同年10月には商用サービス化する予定である。
 また、インターネットの常時接続化に向けて定額料金サービスに対するニーズの高まりを受け、DSLやケーブルインターネットなど定額料金制のサービス提供が増加し、常時接続サービスに要する料金(定額制のインターネット接続料金とアクセス回線の通信料金の合計)についても低廉化が進んでおり、海外の主要国と比較して遜色ない水準となっている。
 このようなアクセス回線におけるブロードバンド化や常時接続化の進展に対応し、今後、バックボーン回線についても、更なる増強が行われるようバックボーンを構成する高速専用線等についての低廉化を進めるとともに、ブロードバンド化等にともなうトラヒック構造の変化に対応した、IX等のトラヒックの交換点の分散化を促進する必要がある。
 インターネット利用端末については、室内でのパソコンからの利用だけでなく、携帯電話からのインターネット利用など様々な利用形態が実現されている。平成12年末におけるインターネット利用人口の大幅な増加は、パソコンの普及とともに携帯電話・PHS端末からのインターネット接続が2,364万人に達したことが大きな要因となっており、端末の多様化がインターネット利用人口の伸びに大きく寄与している(タイピング能力別に利用しているインターネット接続端末をみると、キーボードがほとんど使えない人では、携帯電話・PHSの利用が75%を超えている。)。また、今後、IPv6の導入にともなうインターネットアドレス空間の拡大により、インターネット住宅や、エアコン・電子レンジといったいわゆる「白物家電」にもインターネットの利用機会が拡大することが期待されている。
 最後に、ブロードバンド時代のインターネット利用者像を展望するため、委託調査によりインターネット利用者に対するインターネット上でのアンケート調査を行った結果、利用回線速度の向上にともない、より高速のアクセス回線を指向する傾向が顕著に見られ、特に現在1Mbps以上の回線を使用している利用者の間では、約7割の人が10Mbps以上の回線速度を希望、約4割が25Mbps以上を希望している。他方、コンテンツの利用意向については、インターネット放送や音楽配信、ネットワークゲームといったエンターテインメント系コンテンツに対する現在の利用、将来の利用意向ともにブロードバンド回線利用者の利用・希望比率が際立って高く、ブロードバンド接続環境の経験がより高速の接続環境のニーズを喚起するとともに、インターネット上のコンテンツ・サービスの高度化・大容量化を促すものと思われる。 また、エンターテインメント系コンテンツについては、その他の利用者においても、将来の利用意向が高くなっており、ブロードバンド化の進展が、これらのコンテンツに対する利用ニーズを顕在化させているものと考えられる。
 常時接続サービスの通信料金(通信料・接続料双方を含む)については、1Mbps〜10Mbpsの回線速度に対して利用者の8割から9割が6,000円以下での提供を望んでいる。また、接続端末の面では、特に現在ブロードバンド回線を利用している者の間で携帯ノート型パソコンに対する利用意向が強く、屋外でも屋内と同等の条件でインターネットを利用できる環境の実現が望まれている。

 


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