平成13年版 情報通信白書

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第1章 特集 加速するIT革命

5 電子政府に対する国民意識

電子政府の認知度向上が必要

 国の行政機関及び地方公共団体における電子政府の実現へ向けた取組が急速に進展しつつある一方、今後更なる整備を進める上では、利用者である国民・住民が電子政府に対し何を求め、どう活用しているのかについて十分に把握する必要がある。そこでインターネット利用者を対象としてウェブ上でのアンケート調査を実施したところ、その概要は以下のとおりとなった。

1)電子政府に対する認知度
 まず、電子政府に対する認知度については、「国の電子政府」や「電子自治体」を知っているかとの問いに対し、ある程度内容が分かると答えた回答者の比率は34.7%であり、全体の約1/3程度にとどまっている(図表1))。ウェブアンケートの回答者はインターネットを日常的に活用している層が中心であることを考えると、電子政府の認知度はまだまだ低いレベルにとどまっているといわざるを得ず、電子政府の効用を広く国民が活用できるようにするためには、まず電子政府実現へ向けた取組を国民に積極的に周知するとともに、国民のニーズに即した行政サービスの電子化を進め、国民の関心を一層高めることが必要と考えられる。

2)電子政府への期待
 次に、「国の電子政府」・「電子自治体」の取組に対する期待をみると、行政の利便性向上に対する期待(「手続や予約等が自宅や職場から何時でもできて便利になる」)が7割を超えており、他の項目と比べて突出しており、次いで行政の効率化(「情報化時代に対応して政府や自治体で効率化が進む」)が5割近い回答比率となっている。また、行政・政治への参加の拡大や理解促進(「行政や政治に参加しやすくなる」、「行政や政治への理解が進む」)については、比較的比率は低いものの2割前後の人が期待感を示している(図表2))。
 「国の電子政府」において電子化される行政サービスに対する国民のニーズについては、国レベルのものについては、投票に関するもの(国民投票(63.2%)及び選挙(52.0%))、法令・制度の詳細なデータベース提供(61.8%)が5割を超えている(図表3))。これらはそれぞれ2割前後の回答者が示していた行政・政治への参加の拡大や理解促進への期待感に応じたものと考えられ、「電子政府」の実現によって国の運営がより身近なものとなっていくと捉えられている状況がうかがえる。他方、地方公共団体については、「申請・届出等」が86.2%と突出した比率になっている(図表4))。「申請・届出等」について具体的にどのような申請・届出を期待しているかという問いについては、「住民票や印鑑登録等各種証明書の発行」が9割を超え、ほぼ全ての回答者が住民票・各種証明書の発行を念頭においていることが分かる(図表5))。このことから、突出して大きかった電子政府による行政の利便性向上への期待感は、特に日常生活の中で身近な行政サービスが中心になっているものと考えられ、これに合致する地方公共団体における各種サービスの電子化を進める取組は電子政府・電子自治体全般に関する認知度・理解度を高める上で重要である。

3)政府機関・地方公共団体が提供するホームページの利用状況
 政府機関のホームページについては、日常的・定期的に見ている人は4.7%程度にとどまっているが、一方で何か調べたい時に活用したり、気が向いたときに見ているとの回答を合わせると、これらのある程度積極的なホームページ利用者は44.4%に達している(図表6))。また、内容面では、最新施策動向、報道発表、法令・制度関係情報、統計情報を「よく見る内容」とする回答が1/4を超え、これらの情報は比較的まんべんなく利用されている状況がうかがえる(図表7))。
 他方、ホームページに対する評価については、「情報提供や更新の早さ」、「検索のしやすさ」の項目で不満を訴えた回答(「あまり満足できない」「満足できない」の合計・以下同)が4割を超えている( 資料6参照)。内容別に見ても、それぞれの情報に対して満足(「満足できる」「まあ満足できる」の合計・以下同)と答えた回答者はいずれも2割以下で、不満を訴えた回答の比率を上回っており、全体的に満足度の向上が今後の課題である( 資料7参照)。

 一方、都道府県のホームページについては、見たことがないとの回答が29.4%と、政府機関と比較して7ポイント程度低くなっているが、よく見ているとの回答は4.1%とほぼ同水準である(図表8))。内容面では、「観光やイベントの情報」の利用が5割を超え、「くらしに役立つ情報」、「地域の紹介」とともに他の項目と比べ突出しており、都道府県のホームページ利用は地域情報の入手が主な目的となっていることが分かる(図表9))。
 評価については、「情報提供や更新の早さ」、「検索のしやすさ」では政府機関と同様不満を訴える割合が4割を超え、さらに関係サイトとのリンクの項目も不満が4割を超えている( 資料8参照)。一方、利用頻度の高い「観光やイベントの情報」は、28.8%が満足と回答し、唯一満足と不満がほぼ均衡している項目となっている。また、「くらしに役立つ情報」、「地域の紹介」についても、比較的高い割合の回答者が満足と回答している( 資料9参照)。
 市区町村については、政府機関・都道府県と比較してさらに積極的に活用されていない傾向が強く、特に「存在すること自体知らない」との回答が15.7%にも達することが特徴的である(図表10))。内容面では、「観光やイベントの情報」、「くらしに役立つ情報」、「地域の紹介」の利用が突出しており、都道府県のホームページと同様に地域情報の入手が主目的となっている傾向がみられる(図表11))。
 また、ホームページに対する評価については全般的に低くなっており、特にリンク機能の不備についての不満が、政府機関のホームページへの評価と比較して特徴的である( 資料10資料11参照)。

 なお、都道府県・市区町村については、ホームページを設置している地方公共団体の住民のみならず、他地域の住民からの利用も多く、全体の5割を超える回答者が他地域の地方公共団体のホームページを見たことがあると回答している(図表12))。
 利用目的としては、観光やレジャー、出張等の事前の情報収集との回答が62.5%と突出しており、ホームページを活用した情報発信が当該地域のPRの手段として有効であることを示している(図表13))。

4)ワンストップサービスに対するニーズ
 また、公共施設・キオスク端末等で行政サービスを利用できる「ワンストップ行政サービス」に対しては、8割近くの回答者が必要としており、自宅・職場からインターネットを利用できない場合や高齢者等への対応策として必要との考えが示されている(図表14))。

図表1) 「国の電子政府」・「電子自治体」の認知度
「国の電子政府」・「電子自治体」の認知度
図表2) 「国の電子政府」・「電子自治体」への期待
「国の電子政府」・「電子自治体」への期待
図表3) 国の電子政府で必要なサービス
国の電子政府で必要なサービス 「重要な施策の賛否を問う国民投票」が63.2パーセント、「法令や制度に関する詳細なデータベース提供」が61.8パーセント、「選挙」が52.0パーセントなどとなっている。
図表4) 電子自治体で必要なサービス
電子自治体で必要なサービス 「各種申請、届け出等」が86.2パーセント、「各種相談、問い合わせ」が72.4パーセント、「各種行政情報等データベース提供」が67.1パーセント、「選挙や住民投票」が64.0パーセントなどとなっている。
図表5) 電子自治体で必要な各種申請・届出等の内容
電子自治体で必要な各種申請・届出等の内容
図表6) 政府機関のホームページの利用
政府機関のホームページの利用状況
図表7) 政府機関のホームページの内容別利用
政府機関のホームページの内容別利用
図表8) 都道府県のホームページの利用
都道府県のホームページの利用状況
図表9) 都道府県のホームページの内容別利用]
都道府県のホームページの内容別利用
図表10) 市区町村のホームページの利用
市区町村のホームページの利用状況
図表11) 市区町村のホームページの内容別利用
市区町村のホームページの内容別利用
図表12) 居住地以外のホームページの利用
居住地域外のホームページの利用状況
図表13) 居住地以外のホームページの利用目的
居住地域外のホームページの利用目的
図表14) ワンストップサービスの必要性
ワンストップサービスの必要性に対する意識

 


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