平成13年版 情報通信白書

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第1章 特集 加速するIT革命

3 IT技術者の充実

大半の企業において社内ネットワークの構築等に際してIT技術者が不足

 ネットワーク事業者やシステム開発メーカーなどいわゆるIT企業や、従来の生産・商取引活動などに情報通信の導入・活用を目指すユーザー企業などで、これらを支えるIT技術者の不足が問題視され始めている。
 平成12年8月に国内の上場企業や株式を店頭公開している企業など約3,400社を対象として日経NETWORKが実施した「ネットワーク時代のIT技術者に関する調査」では、社内ネットワークの構築・運用に際しての問題意識やIT技術者不足の状況が明らかになっている。この調査によれば、大半の企業が社内ネットワークの構築・運用に際して社内の人材が不足していることを問題視しており、約3/4の企業がネットワーク担当技術者の不足を指摘している(図表)。
 また、今後のネットワーク技術者の雇用の際に、どの技術分野の技術者を求めるかについては、約半数の企業がサーバーとセキュリティ関係を挙げており、情報の機密保持の観点から、自社内でのサーバー運用の必要性がある状況を反映している。ただ、その技術者不足への対応策としては、やはり約半数の企業が「社内で担当者を養成する」と答え、これらのユーザー企業では社員の再教育を主軸におく方向性が示されている(以上、『日経NETWORK』2000年11月号 P110〜114より)。
 こうした社員教育へのニーズについては、IDC Japanによる調査においても、国内IT教育・トレーニング市場について平成12年の市場規模を1,402億円以上と見通し、今後は年間平均成長率7.6%で伸び、平成16年までには1,929億円に達すると予測されている。また、同調査では、特にUNIXなどのネットワークプラットフォーム、データベース、またJavaやXML等のシステム開発技術の習得需要が高まり続けるとしている。
 他方、人材不足状況についてシステム開発メーカーに対してヒアリング調査を行ったところ、特定分野に専門的知識を有する人材はいるが、システム開発過程で様々な要素を統合して製品化する人材が不足していると答える企業が多く、このほかUNIXやJava関連の技術者の不足を強く訴える企業もみられた。
 このようなIT技術者等の人材不足への対応としては、(社)電気通信事業者協会他6団体がネットワーク情報セキュリティマネージャー推進協議会を設立し、今日社会問題化しているハッカーや不正アクセスから情報通信ネットワークを防御する専門家を育成するための資格認定講習を平成13年秋から実施することとしているなど、人材の育成・確保に努めているところである。
 また、IT技術者の不足については、優秀な外国人人材への期待も高まっており、このため先般策定されたe-Japan重点計画においてもIT技術者に関する上陸許可基準等外国人受入れ関連制度の見直しについて検討を行い、平成13年度中に結論を得て、所要の措置を講ずることとされているところである。

図表 上場企業等におけるネットワーク担当技術者の充足状況(平成12年8月)
上場企業等におけるネットワーク担当技術者の充足状況(平成12年8月)

 


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