平成13年版 情報通信白書

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第1章 特集 加速するIT革命

6 横断的な課題

デジタル・ディバイドの是正

 「e-Japan重点計画」では、前述の5分野の施策を推進して高度情報通信ネットワーク社会を実現するに当たって、重点的な対応が必要となる横断的な課題が存在することから、「研究開発の推進」、「デジタル・ディバイドの是正」、「社会経済構造の変化に伴う新たな課題への対応」、「国際的な協調・貢献の推進」の4つの課題に分けて、これらについても積極的な対応を行うこととしている。
 総務省関係の主な施策は以下のとおりである。

1)研究開発の推進
 情報通信分野では技術が発展の原動力であり、技術革新こそが今後の高度情報通信ネットワーク社会の発展の基盤となる(注)。したがってIT戦略本部と総合科学技術会議との連携を図りつつ、産学官の協力関係を強化しながらネットワーク高度化技術や高度コンピューティング技術等の基盤技術に関する研究開発を推進し、特に、民間のみでは推進困難な技術に関しては国が率先する形で研究開発を一層推進することが必要である。
 総務省としては、伝送速度の高度化、インターネット基盤技術の高度化、移動通信技術の高度化という観点から研究開発を推進していく。

2)デジタル・ディバイドの是正
 高度情報通信ネットワーク社会においては、全ての国民がインターネット等を容易にかつ主体的に利用し、個々の能力を創造的かつ最大限に発揮できる環境が整備されることが重要であり、このためには、地理的な制約、年齢・身体的な条件等に起因する情報通信技術の利用機会及び活用能力の格差の是正を積極的に図っていくことが必要であるとしている。
 総務省としては、
(i)地理的情報格差の是正については、過疎地等の条件不利地域におけるインターネットの利用を促進するため、市町村の学校等の公共施設へのインターネット導入、地方公共団体等の公的主体の行う高速公共ネットワーク整備、ケーブルインターネット整備、民間事業者の光ファイバ網、DSL等の整備に対する都市地域等よりも手厚い金融措置等の支援を行うこととしている。
(ii)年齢・身体的な条件の克服については、
ア)視聴覚障害者が健常者と同様に放送サービスを享受できるよう、視聴覚障害者向け放送ソフトの制作技術の研究開発を実施するほか、字幕番組、解説番組及び手話番組の制作費に対する助成を行うこと
イ)高齢者・障害者の様々な障害に対応できる通信・放送システムを実現するための情報バリアフリー型通信・放送システムの研究開発、及び高齢者や障害者が一般のホームページ等に簡単にアクセスできるように、その支援に必要な点検・変換の機能を持つシステムの実証実験を行うとともに、運用面・制度面の課題について調査研究を実施すること
 等を推進する。

3)社会経済構造の変化にともなう新たな課題への対応
 IT革命の進展にともない、有害情報の氾濫を通じた青少年の健全な成長への影響等の問題の発生が懸念されることから、これらの新たな問題についても的確かつ積極的に対応していくことが必要であるとしている。
 総務省としては、プロバイダ等による発信者への警告や掲載情報の削除等の迅速な対応を支援するための違法・有害情報を発見する技術や電子掲示板への書き込み等に関して、通信過程で発信者に関する情報を改ざんされないようにする技術の開発(第1章第8節2参照)等を推進する。

4)国際的な協調・貢献の推進
 高度情報通信ネットワーク社会を実現するためには、様々なルールや規格などの国際的な調和に向けた取組、また国際デジタル・ディバイドの解消のために、地球規模での国際的な協調・貢献を積極的に行っていくことが必要であるとしている。
 総務省としては、
(i)インターネット及び電子商取引等の普及の促進に向け、国際的な規格や準則等の整備や研究開発
(ii)「アジア太平洋地域の全ての人々が、インターネットにアクセスできるよう、国内的な努力、国際的な協力に全力を挙げる。」とのAPT東京宣言の目標達成に向けた衛星通信システム、無線通信等を利用した普及型通信モデルシステムの開発であるアジア広域圏衛星通信システムの調査・開発
 等を推進する。



(注)平成13年3月に閣議決定された科学技術基本計画においても、科学技術分野の中で特に重点を置く4分野の一つとして情報通信分野が挙げられている。さらに、総合科学技術会議において、情報通信分野を含めた研究開発の重点領域等を示す推進戦略の作成を予定している。

 


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