平成13年版 情報通信白書

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第1章 特集 加速するIT革命

3 ショッピング

一般の小売店等には出回りにくい商品の売買にネット・オークションを利用

 インターネット上での電子商取引(最終消費財市場)の市場規模は、第1章第2節で示したとおり、平成11年に引き続き大幅な伸びを示している。これは、ホテル等の施設や小売店などによるインターネット上での予約・販売サイトの充実などを背景に、一般消費者による利用が増加していることが一因として考えられる。
 電子商取引の利用状況について、ウェブ上でのアンケートによる調査では、男女ともこの1年間に利用を経験している人が約60%となっている。このうち回答者の9割以上を占めた20〜40歳代では、男性は20歳代で利用経験者の割合が低く(約53%)なる傾向なのに対して、女性ではむしろ40歳代で低く(約54%)、20〜30歳代の利用経験者が60%前後と比較的高くなっている。
 今後の電子商取引の利用意向では、回答数が比較的多い品目のうち、コンサート等の予約について20歳代男性や40歳代女性で、またAVソフト・TVゲーム等は20歳代男性、食料品・酒類は40歳代女性で他の区分に比べて高い。今後、予約・販売サイトの増加や利用者自身がインターネットに習熟するにつれて、これらの利用が高まってくるものと考えられる(図表1))。
 個人が利用する電子商取引のうち、平成12年に注目されてきているものにいわゆるネット・オークションがある。これは、インターネット利用者同士が交流し、品物の売買を行う場所を提供するサービスである。
 郵送アンケート調査の結果では、パソコンによりインターネットを利用している人の利用用途について、第1章第1節に示したように、15.2%のパソコンインターネット利用者がネット・オークションへの参加を挙げている。そこで、インターネット上でのアンケートを行い、ネット・オークションへの参加理由等について調査を実施した。その結果、オークションに入札した理由については「安く購入できると思ったから」が圧倒的に多く、次いで4割以上の人が「他では入手できないものが出品されていたから」を挙げており、出品した理由として最も多かった「他の手段では売却しにくいから」と合わせ、不特定多数の人々によって多種多様な品物が出されているという特質から、ネット・オークションを自分の興味の対象などで比較的一般に出回っていないものの売買の場として利用している状況が分かる(図表2))。
 実際に、最大手オークション・サイトであるYahoo!オークションに掲載されている商品について、その分類に用いられているカテゴリごとに出品割合をみると、音楽ソフトや楽器、本・雑誌等の「アート、エンターテインメント」、アパレル商品等の「ファッション、アクセサリー」をはじめ、趣味・嗜好に関連する商品が極めて多岐にわたっており、出品総数は200万を超える膨大な量となっている(図表3))。
 オークション・サイトの運営事業者では、利用に際してのガイドライン等をそのホームページ上で公開し、入札・購入や出品・販売に関するルールや商品と代金の受渡し方法等のほか、トラブルを避けるための注意点や実際に詐欺等のトラブルが発生した際の対処方法について具体的に利用者に示し、円滑なオークションの運営を図っている。しかし、依然として詐欺事件や違法出品などが発生している状況を踏まえ、出品内容の監視を強化するとともに、出品者と落札者の間に代金と商品の受渡しを管理・仲介する業者が入り、安全・確実な取引を実現するエスクローサービスやオークション参加者の本人確認の導入などの取組が進められている(図表4))。
 以上のほか、一般消費者による電子商取引に関しては、多数の電子商取引サイトや実店舗におけるパソコンや家電、スポーツ関連やブランド品等の販売価格について随時調査し、それらの比較検討の材料を提供するサービスとして「価格比較サイト」が次々と登場し、最近注目されている。 ここでは、価格を提示するだけではなく販売している店舗・メーカーへのリンク集や店舗や商品のランク付け、法人向けサービス、買い取り査定の仲介など、インターネットを利用して商品を買ったり売ったりするための情報ポータルサイトとしての役割を果たしている。
 ウェブ上でのアンケート調査では、4割程度の人々がこのようなサービスを何らかの形で利用したことがあると答えている。このうち、全体の3割近い人々が、日常のショッピングをする際に参考としていると回答しており、インターネット上のウェブサイトでのサービスが、電子商取引のみならず、実店舗での従来の商品購入行動にも影響を与えている状況が分かる(図表5))。

図表1) 電子商取引の今後の利用意向
電子商取引の今後の利用意向
図表2) ネット・オークションへの入札・出品理由
ネット・オークションへの入札・出品理由
図表3) オークション・サイトにおけるカテゴリ別出品割合(例)
オークション・サイトにおけるカテゴリ別出品割合(例)
図表4) ネット・オークション参加者の本人確認手続例(Yahoo!オークション・サイトの例)
オークション・サイト参加者の本人確認手続例(Yahoo!オークション・サイトの例)
図表5) 価格比較サイトの利用状況
価格比較サイトの利用状況

 


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