平成13年版 情報通信白書

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第1章 特集 加速するIT革命

4 趣味・娯楽

オンラインゲームやPtoPを利用したファイル交換システムが話題に

 第1章第1節「IT社会発展の基盤となるブロードバンド化の進展」で示したように、インターネットのブロードバンド化や常時接続サービスの普及等にともない、一般利用者の多種多様な趣味や娯楽ニーズを踏まえたコンテンツ・サービスの提供が拡がっている。例えばいわゆるインターネット放送では、インターネットの時間・場所への非依存性や双方向性・パーソナル性といった特質を生かした、個人の嗜好やニーズに応える様々なサービスが実現しつつある。また、音楽コンテンツのダウンロードサービスについては、既に各大手レコード会社が参入し、今後のソフトの提供媒体事業としての立ち上がりが注目されているところである。
 日常生活において趣味や娯楽などエンターテインメントの大きな部分を占めつつあるゲームについても、インターネット接続機能を備えた家庭用ゲーム機や対戦型ゲームソフトなど、インターネットの様々な活用がなされているところであるが、平成12年に特に話題となってきたものに、オンラインゲームがある。これは、インターネットのウェブサイト上において複数の利用者同士による対戦ゲームなどをオンラインで行うものであり、米国、韓国ではインターネットの主要コンテンツとして定着している。
 特に韓国では、いわゆるPC房に設置された高性能のパソコンと高速のインターネット接続環境におけるオンラインゲームの利用が一つのきっかけとなってインターネットが爆発的な普及を遂げたと言われている。オンラインゲームについては、我が国においても米国の大手サイトの日本版が開設されるなど徐々に拡がりつつある(図表1))。
 平成12年9月に「生活を楽しむエンターテインメント 〜The Entertainment of Your Life〜」をテーマに幕張メッセにて開催された「東京ゲームショウ2000秋」では、その主催者企画コーナーに「ネットワークエンターテインメントコーナー」が新設され、オンラインゲームのコンテンツが出展された。今後、オンラインゲームは、大容量の情報通信基盤の整備等にともない、インターネット時代におけるゲーム文化の1つとして普及していくとも予想される。
 一方、インターネットのエンターテインメント利用として、音楽ファイル交換システムである「Napstar(ナップスター)」についても平成12年に特に話題になったものとして挙げることができる。これは、ピア・トゥ・ピア(PtoP)という、インターネットにつながった不特定多数のコンピュータ同士で直接情報をやり取りする情報蓄積・交換の形態を利用している。 ピア・トゥ・ピアでは、今までのインターネットにおける、主に情報を蓄積するサーバーとサーバーに蓄積された情報を利用するネットワーク接続端末による構成とは異なり、全てのコンピュータが情報蓄積側と利用者側の両面の立場に立つこととなる(図表2))。パソコンにナップスターのソフトウェアをインストールすると、そのパソコンに保存されている音楽ファイル名がナップスターのサーバー経由でインターネット上に公開され、その情報を見て自分が欲しい音楽ファイルを見つけた利用者は、直接そのパソコンから希望の音楽ファイルを入手することができる。
 ただし、ナップスターでは音楽ファイルが個人的な利用のためにインターネット上で次々と無償複製されていくため、これが著作権侵害にあたるとして、米国レコード協会などがサービス停止を求めていたが、平成13年3月に米国北カリフォルニア連邦地裁において著作権侵害にあたる楽曲の無料交換サービスの停止に関する仮処分命令がなされており、著作権保護との関係において問題点が指摘されているところである。

図表1) 主なオンラインゲームの例
主なオンラインゲームの例
図表2) Napstar(ナップスター)の仕組
ナップスターの仕組み

 


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