平成13年版 情報通信白書

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第1章 特集 加速するIT革命

6 仕事

テレワーク・SOHOについて20〜30歳代の女性に比較的高い利用意向

 情報通信ネットワーク環境の整備やそれによるインターネットの普及拡大等を背景として、テレワークやSOHOという新たな就労形態が徐々に広がりつつある。テレワークとは、パソコン等の情報通信機器等を利用し、自宅などオフィス等から離れたところで仕事を行うことをいい、特に個人企業家や自営業者が小規模オフィスや自宅で、独立してビジネスに取組むことをSOHO(Small Office/Home Office)と称することが多い。
 国民生活において、テレワーク・SOHOにより通勤のために要する時間やコスト等の負担が軽減されることは、ゆとりある生活の実現に貢献するとともに、交通量低減等の環境への負荷抑制にもつながるものと考えられる。
 テレワークに対する国民意識について、ウェブアンケートによる調査では、今後テレワークをしたいと考えている人が男性、女性ともに70%前後みられた(図表1))。特に20〜30歳代の女性で比較的高いテレワークに対する利用ニーズがみられ、家事・育児等をしながらも就労意欲を持っている女性に、テレワークへの関心が高まっているものと考えられる。実際にテレワークを行う際の効果についても、「好きな時間に仕事ができる」、「自分のスキルを活かすことができる」、「家事・育児・介護などをやりながらでも仕事ができる」ことを重視する女性が多い(図表2))。このことから、今後、女性の家事・育児等と仕事との両立や高齢者・障害者の一層の社会参加促進に向け、テレワークに関する社会的コンセンサスが広がり、広範な就業環境の整備が進められることが望まれる。
 民間企業におけるテレワーク等に関しては、職種や仕事の内容等について適用対象に条件がある場合が多いものの、いくつかの企業において、育児・介護の支援や障害者雇用の拡大、業務能率の向上やオフィスコストの削減などを目的とした導入事例がみられる。しかしテレワークの制度を設けている企業においても、社内意識や旧来の就業管理の仕組との不整合などが一部に生じ、必ずしも十分に活用されていないケースもあると思われる。
 一方、地理的な要因などにとらわれずに個人企業家等によるビジネスに活躍の機会をもたらすSOHOについては、国内で約500万事業所、約1,500万人以上が就労しているとの推定もなされており、ITの活用による新ビジネスとして注目されつつある。 しかし一層の普及促進や新たな就労形態としての国民生活への定着に向けては、SOHO事業者の知名度不足や小規模性、新規事業性から、安定的な仕事の確保や客観的な信用・評価のための仕組みなどのSOHOを取り巻く市場環境を整備することが重要となる。 そこで、郵政省(現総務省)と(財)日本SOHO協会は「SOHOディレクトリの在り方に関する研究会」を開催し、その報告書として平成12年6月に、SOHOに関する電子基本台帳である「SOHOディレクトリ」の開発運営推進案を取りまとめた。
 「SOHOディレクトリ」は、知名度の低い個々のSOHO事業者の事業内容等について、企業や行政、市民等が簡単に閲覧・検索できる電子的な台帳を作成し、様々な仕事の発注側と受注側を結びつける手段として期待されている。 総務省では、今後、膨大な件数になると想定される登録情報を一元的に管理するSOHO統一コードの標準化や、それを随時更新するための機能開発を進める必要があることから、SOHOディレクトリのシステムの実効性や技術的可能性等を検証するため、SOHO事業者の協力を得て実証実験を推進する予定である。

図表1) テレワークの利用意向
テレワークの利用意向
図表2) テレワークを行う際の効果
テレワークを行う際の期待される効果

 


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