平成13年版 情報通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く目次の階層をすべて閉じる

第1章 特集 加速するIT革命

8 通信と放送の融合

ITの高度化にともない、通信と放送の融合が進展。多様な融合サービスの本格化が期待

 インターネットの急速な普及等情報通信の高度化にともない、1)インターネット放送のような通信と放送の中間領域的なサービスの登場(サービスの融合)、2)ケーブルテレビネットワークのように、一つの伝達手段を通信にも放送にも用いることができる伝達手段の共用化(伝送路の融合)、3)電気通信事業と放送事業の兼営(事業体の融合)、4)通信にも放送にも利用できる端末の登場(端末の融合)といった、いわゆる「通信と放送の融合」と呼ばれる現象が近年出現してきている(図表1))。
 今後、ブロードバンド・アクセス・ネットワークの普及や放送のデジタル化の進展にともない、家庭のパソコンや携帯電話端末等に映画やゲーム等のデジタル映像コンテンツを配信するサービスや、データ放送とインターネットを組み合わせることで、放送により商品情報を配信し、インターネットを利用して商品の受発注を行う電子商取引等、多様な通信・放送サービスが本格化することが期待される(図表2))。
 このような通信と放送の融合現象に的確に対応するため、郵政省(現総務省)では、平成12年6月から、大臣の懇談会として、「通信・放送融合時代の情報通信政策の在り方に関する懇談会」(座長:堀部政男中央大学教授)を開催し、同年12月に、提言「通信・放送融合サービスの健全な発展に向けて」を取りまとめ、公表した。
 本取りまとめでは、1)伝送路の融合が進むCSデジタル放送、有線テレビジョン放送等について、ソフト/ハード分離を一層進める制度の整備、2)最先端の通信・放送融合サービスを開発支援する制度の整備、3)流通する違法・有害情報への対応等、政府として速やかに取り組むべき制度的対応等を提言しており(図表3))、総務省では、本提言を踏まえ、第151回通常国会に「電気通信役務利用放送法案」、「通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律案」を提出するなど、所要の制度整備等を進めているところである(「通信・放送融合技術の開発の促進に関する法律」については平成13年6月1日に成立)。

図表1) 通信と放送の融合現象
通信と放送の融合現象の概要
図表2) 通信・放送融合サービスの今後のイメージ
通信・放送融合サービスの今後のイメージ
図表3) 「通信・放送融合サービスの健全な発展に向けて」概要
提言の概要


(注)「プラットフォーム」は、これまで放送においては、「衛星デジタル放送において、番組の制作・編集を行う委託放送事業者を取りまとめ、広告宣伝、加入者管理、利用料金回収等を行う会社の総称」の意味で用いられることが多かった。今後、ネットワークのブロードバンド化につれてコンテンツ配信ビジネスの市場が変質、拡大し、広告宣伝、加入者管理、利用料金回収等の役割が大きくなることを踏まえ、同取りまとめでは、衛星デジタル放送に限らずにこれら諸機能を広く「プラットフォーム」としている。

 


7 コンテンツの多様化・大容量化 に戻る 9 デジタル放送 に進む