平成13年版 情報通信白書

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第1章 特集 加速するIT革命

4 障害者におけるデジタル・ディバイドの現状

障害者固有の事情による格差拡大の防止を目指して

 インターネットや携帯電話をはじめとするITは、障害者のコミュニケーションや情報アクセスを支援し、日常生活をより快適にする役割を果たしている。例えば、視覚障害者に関しては、点字や朗読に依存してきた読書について、点字ディスプレイや音声読み上げソフトを利用することにより、好きな時に容易に本が読めるようになった。特に、これまで点字化や朗読になじまなかった辞書や百科事典、あるいは新聞、週刊誌など時事的な情報へのアクセスが容易になるなど、ITが果たす役割は大きい(図表1))。また、SOHOによる社会参加や、聴覚障害者の外出中におけるメールによるコミュニケーションも可能となっている。
 他方、IT化の進展によるメリットを障害者が十分に享受できない場合もある。例えば、ウェブアクセシビリティの問題がある。例えば、テキストベースの情報であれば、視覚障害者は点字ディスプレイや音声読み上げソフトが利用できるが、ウェブ技術が向上したため、画像、映像、フォーム、表を活用し、視覚デザインを重視したホームページが増えたことで、これら文字情報以外の情報を読み取ることが困難になっている。また、肢体不自由者の場合には、キーボードやマウスなどの利用が困難な場合があり、障害の状況に応じた様々な機器を利用する必要がある。このような障害者特有の事情に加え、障害者の収入や情報量、社会参加の機会などの制約から、一般的にデジタル・ディバイドを更に生じる可能性があることにも留意する必要がある。
 このような状況に対し、ウェブ技術の標準化を推進しているW3C(The World Wide Web Consortium)は、障害者の情報アクセスを助けることを目的にウェブでの情報提供に向けたガイドラインを示している。また、郵政省(現総務省)及び厚生省(現厚生労働省)が平成10年度に開催した「『情報バリアフリー』環境の整備の在り方に関する研究会」においても、高齢者・障害者が一般のホームページに簡単にアクセスできることを目指した「インターネットにおけるアクセシブルなウェブコンテンツの作成方法に関する指針」が作成されており、総務省では、平成12年度より、アクセシブルなホームページ作成のための支援システムを制作しているところである。さらに、障害者や高齢者にとって効果的で利用価値が高いコンテンツを目指したインターネット放送の実証実験が平成13年3月から開始されている(図表2))。これは、インターネットのブロードバンド化により、様々な映像・音声コンテンツやアプリケーションを利用することが可能となることを踏まえ、障害を持つ人や高齢者向けに、朗読コンテンツや手話コンテンツ、絵本コンテンツを制作、インターネット上で実際に公開する実証実験であり、総務省においても支援を行っているところである。

図表1) 障害者のコミュニケーション支援器具の例
障害者のコミュニケーション支援器具の例(写真)
図表2) 障害者、高齢者が楽しめるインターネット放送実験システム構成図
障害者、高齢者が楽しめるインターネット放送実験システム構成図

関連サイト:W3C Techniques for Web Content Accessibility Guidelines 1.0
(http://www.w3.org/TR/2000/NOTE-WCAG10-TECHS-20001106/ )
障害者、高齢者が楽しめる ブロードバンド時代のインターネットを目指して
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