平成13年版 情報通信白書

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第1章 特集 加速するIT革命

2 違法・有害情報

違法・有害情報の流通が社会問題化

 国民生活・社会経済活動のネットワーク化にともない、インターネット上で、わいせつな情報、個人のプライバシーを侵害する情報、嫌がらせのための情報など、違法・有害情報の流通(注1)が社会問題化しつつあり、こうした情報に対する苦情・相談の件数も年々増加してきている。警察庁発表によると、平成12年中のハイテク犯罪等に関する相談受理状況(都道府県警察に寄せられた相談として警察庁に報告があったもの)では、相談件数全体(11,135件)のうち約26%(2,896件)を違法・有害情報(わいせつ画像・違法薬物販売等)(注2)の通報、取締り情報等が占めている。
 違法・有害情報に対する対応は、現在インターネット接続サービス等を提供する事業者による自主的な対応により行われている。具体的には、平成10年2月に(社)テレコムサービス協会において「インターネット接続サービス等に係る事業者の対応に関するガイドライン」を策定し、平成12年1月には、このガイドラインの趣旨を盛り込んだモデル契約約款の策定を行った。各事業者はこれらに沿って、契約約款に規定を設けた上で、違法・有害情報が発信されたことを知った場合には、その情報を発信した者に伝達、削除等の措置を要請し、さらには状況によっては削除する等の対応を行っている。また、インターネット上の情報流通に関して、ウェブページ等への情報掲載による他人の権利利益の侵害に、プロバイダ等が迅速かつ適切な対応が行えるよう責任を明確化するため、「特定電気通信による情報の流通の適正化及び円滑化に関する法律案」(仮称)を平成13年中に提出することとしている。
 また、事業者による対応のみならず、受信者自身が違法・有害情報の受信を拒否できるよう、フィルタリング(選別)技術の開発・導入が進みつつある。フィルタリングには、全文検索方式、NOリスト方式、YESリスト方式、多段階レイティング(格付け)方式といった種類(図表2))があるが、それぞれ長所・短所があり、現在きめ細かいニーズに対応できる多段階レイティング方式(図表3))を中心としてその他の方式を組み合わせる枠組みが望まれている。
 多段階レイティング方式については、レイティング情報の記述フォーマットの標準化やそれに対応したレイティング基準が提唱されている。しかし、最近ではコンテンツの内容について客観的な事実の確認にとどめるという考え方(ラベリング)が提唱され、国際的な取組が展開されている。また、通信・放送機構では、平成10年1月から横浜市の協力を得て、コンテンツのレイティングを支援する技術等、レイティング・フィルタリング技術の高度化のための研究開発を本年3月まで実施したところであり、この研究開発の技術を活用することにより、レイティングに必要な人的負担が軽減されるほか、受信者の多様な価値観に柔軟に対応できることから、フィルタリングの機能がより発揮されることが期待できる。

図表1) 違法・有害情報事例(逮捕ないし書類送検されたもの)
違法・有害情報事例(逮捕ないし書類送検されたもの)
図表2) 主なフィルタリング方式の概要
主なフィルタリング方式の概要
図表3) 多段階レイティング方式におけるレイティング(格付け)の例(電子ネットワーク協議会)
多段階レイティング方式におけるレイティング(格付け)の例(電子ネットワーク協議会の例)


(注1)違法情報は、法令に違反したり、他人の権利を侵害したりするような情報をいい、有害な情報とは、公共の安全、善良な風俗や青少年の健全育成を害するような情報を指している。違法情報の例としては、覚せい剤等禁止薬物や銃器の売買情報、特定人に対する脅迫・詐欺・名誉毀損等刑法に抵触するもの、刑法上の「わいせつ」に該当するポルノ情報、児童買春、児童ポルノ法上の「児童ポルノ」に該当する情報が挙げられ、有害情報の例としては、刑法等の「わいせつ」、「児童ポルノ」に該当しないポルノ情報や暴力的な表現が挙げられる。
(注2)別掲されている名誉毀損・誹謗中傷等に関する相談(1,884件)を含めると、約43%に達する。

 


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