平成13年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

3 ITによる地域振興 

(1)デジタル・ミュージアム構想の推進

地域の伝統文化等に関するデータベースの整備等を促進

 我が国では、生活様式の変化や高齢化の進展にともない、広い意味での地域文化の保存・継承が急務となってきており、文化財等をデジタル情報として保存する取組がそのために有効な手段であると認識されつつある。
 また、平成10年11月に政府の高度情報通信社会推進本部にて取りまとめられた「高度情報通信社会の実現に向けた基本方針」においても、地域の伝統文化や産業、歴史的遺産等に関するデータベースの整備や情報提供体制の充実を図ることが掲げられ、国民の文化志向の高まりと多様化に対応した情報化を推進することとされているところである。
 こうした中、その保存・継承が難しくなっている地域の有形・無形の文化財、歴史的遺産を半永久的に劣化することなく保存し、かつ、それらを住民にも公開していくことが可能な地域デジタル・アーカイブを整備する取組を地域文化の保護の担い手である地方公共団体が行うことは重要である。また、地域文化は一部の地域内、関係者に限られていたが、これを広く内外に紹介する仕組を構築することを通じて、文化施設や教育現場における日本の地域文化全般への理解の深化や文化財に関する国際交流が図られるほか、地域文化情報を情報資源として利活用することで地域の活性化が期待される。
 このため総務省では、地域の文化施設(美術館や博物館等)に蓄積された文化財などのデジタル情報にネットワークを通じて誰もがアクセス可能な状態にする「デジタル・ミュージアム構想」を推進しているところである。
 平成10年度に自治省(現総務省)では、高度情報通信社会の進展に対応した地域の活性化を図るため、「地域情報通信基盤整備事業」を開始し、公共施設等を相互に接続する高度な情報ネットワークの整備等について地域総合整備事業債による財政措置を講じていたが、新たに平成12年度に「デジタル・ミュージアム構想」に資するシステム(ハード)整備についても対象とするとともに、地方公共団体における地域文化を主題としたデジタルコンテンツの制作に対して地方交付税による財政措置を行った。
 総務省では、本施策により地域デジタル・アーカイブや、それらのデジタル情報を素材としてテーマ別に編集する全国的な取組(地域文化デジタル化事業)を支援し、地域の情報通信基盤の整備を一層推進することとしている(図表)。
 また今後、こうした取組を通じ、地域における日本文化・歴史的伝統等を体現する収蔵品をデジタル化・ネットワーク化し、どこからでもアクセスできるシステムを構築することにより、全体として日本文化全般の把握、日本の再発見、海外への日本文化紹介等が可能となるような「デジタルネットワーク型博物館構想」の実現に向けた検討を進める予定である。
 地方公共団体においても、今後、地域における文化的資源の再発見、地域アイデンティティの確立、地域の活性化の機運を自発的に醸成する環境を整備するため、地域の関係者の協力を得ながら、地域の文化施設に蓄積された文化財等のデジタル情報化の実現に向けて積極的に対応していくことが必要である。

図表 デジタル・ミュージアム構想の推進イメージ
デジタル・ミュージアム構想の推進イメージ

 


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